顧客争奪戦で優勝劣敗は必至 第2回 「値引き券」に名古屋の店長が絶句

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
東京都内のトヨタの直営販社。かつてはトヨペット店とネッツ店が隣り合っていたが、全車種の併売化を先行実施した2019年に看板を「TOYOTA」に統一した(撮影:今井康一)

特集「トヨタ全車種「併売化」の衝撃」の他の記事を読む

「お客さんから他店の『値引き券』を見せられたとき、絶句した」。名古屋市郊外にあるカローラ店の店長はそう振り返る。

県内の別のトヨタ系販売会社が今年5月から新規の来店客に値引き券を配布し、特定の車種であれば10万円を値引く施策を始めたからだ。「値引きの額がでかいし、そんなやり方は聞いたことがない。新規客をそこまでして取り込みたいのかと思った」(前出の店長)。

異例の事態が発生したきっかけは、2020年5月からトヨタ自動車が踏み切った全車種の併売化だ。

国内に約5000店ある販売店は「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」に分かれている。それぞれが専売車種を持ち、一定のすみ分けをしていた。だが、全車種併売化で垣根が取り払われ、販売チャネルは実質的に一本化された。

併売化で新たなお客さんが来店すれば、顧客接点の拡大につながる。だが、首都圏のベッドタウンにある販売店の店長は「併売化は良し悪しだ。既存客への買い替え提案や新規客の取り込みがしやすくなった反面、値引きを吹っかけてくる客の来店も増えた」と話す。

垂涎の的だった人気車種

次ページ既存客の流出
関連記事
トピックボードAD