「お客さんから他店の『値引き券』を見せられたとき、絶句した」。名古屋市郊外にあるカローラ店の店長はそう振り返る。
県内の別のトヨタ系販売会社が今年5月から新規の来店客に値引き券を配布し、特定の車種であれば10万円を値引く施策を始めたからだ。「値引きの額がでかいし、そんなやり方は聞いたことがない。新規客をそこまでして取り込みたいのかと思った」(前出の店長)。
異例の事態が発生したきっかけは、2020年5月からトヨタ自動車が踏み切った全車種の併売化だ。
国内に約5000店ある販売店は「トヨタ」「トヨペット」「カローラ」「ネッツ」に分かれている。それぞれが専売車種を持ち、一定のすみ分けをしていた。だが、全車種併売化で垣根が取り払われ、販売チャネルは実質的に一本化された。
併売化で新たなお客さんが来店すれば、顧客接点の拡大につながる。だが、首都圏のベッドタウンにある販売店の店長は「併売化は良し悪しだ。既存客への買い替え提案や新規客の取り込みがしやすくなった反面、値引きを吹っかけてくる客の来店も増えた」と話す。
垂涎の的だった人気車種
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら