ソニー平井一夫はカルバーシティーで何をしたのか 「ひと烈風録」関連インタビュー

カルバーシティーに半年間詰めた
――社長を退いたのは2018年3月。しかし、最後の1年、つまり2017年のうちかなりの期間をアメリカでの仕事に費やした、という話を聞きました。
アメリカのソニー・ピクチャーズ(SPE)のことですね。2017年1月、トップのマイケル・リントンが会社を去ることになりました。同時に業績も良くなかった。CEOは不在、業績は厳しい、というかなりまずい状態になりつつあったんです。
ソニー全体をみるといい方向に向かっている。エレキも回復しつつある。喫緊の課題はカルバーシティー(SPEの本社所在地)でした。
CEOがいないわけですから、まずやらなきゃいけないと思ったのは、私自身がカルバーシティに乗り込むということ。立場はともかく、まずSPEのビジネスを安定化しないといけない。ということで、カルバーシティーに半年ぐらい詰めていました。
それができたのも(現社長の)吉田(憲一郎)さんのおかげです。「自分が行かないと気が済まないし、たぶん私が行かないとだめだと思う」と相談した。そうしたら吉田さんは「行ってきてください。東京のことは全部任せてください」と言ってくれた。じゃあもう東京は全部お願いしようと。というかもうソニーは全部お願いするから、私はとりあえずカルバーシティーに行ってきますというふうに言えるだけの自信があった。彼に対しての信頼はそれだけ大きかったということです。
カルバーシティーに行くとなると、「平井がハリウッドに行って何をするのか」と思われますよね? だって私はハリウッドの人間じゃない。映画ビジネスのこともろくすっぽ知らない。
では何をしたかというと、やったことは二つに尽きます。一つは、社員とマネージメントの不安を払しょくすること。平井がカルバーシティーにいます、みなさんの話を聞きますよ、と。スタジオを売らないということも改めて宣言し、マスコミに対しても言いました。
カルバーシティーに行ったことはありますか。
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