
「トライして都合が悪ければ、すぐに変えればいい」
トヨタ自動車社長に就任して10年の間、豊田章男は、孤独な戦いの日々を過ごしてきた。
彼は、元大リーガーのイチローとの対話の中で、ビジネスの世界では決して見せることのない“素顔”をのぞかせ、本音を語る。
それは、イチローが経営のプロでも、同業者でも、トヨタ関係者でもないからか。いや、それこそ皮相な見方だ。章男とイチローの間には、孤独を背負ってきた者同士の魂の交感、共鳴、共感、共振がある。
章男は、この10年間、何に悩み、どんなリーダーになろうとしてきたのか。イチローとの対話を詳細に見ていくと、彼の内面の声が聞こえてくるのだ。
その一例を挙げてみよう──。
トヨタはモノづくりに、真摯に、愚直に向き合ってきた。その姿は、イチローが野球に対し、準備やルーティンを重んじながら、真っすぐに向き合う姿勢と重なる。
よく知られるように、トヨタにおけるモノづくりを象徴するのが、「改善」だ。トヨタは、「3年間、何も変えなければ会社が潰れる」といわれるほど、「変わらない」ことを悪とし、つねに「改善」を続ける。トヨタお得意の原価低減は、あらゆる面でムダ、ムラ、ムリを排して「改善」を積み重ねることによるコストの圧縮に尽きる。
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