揺れるリクシル、潮田CEOへの独占取材全文 「ガバナンスというのは経営者を辞めさせることだ」
(注)本記事は東洋経済オンラインで無料公開している記事の詳細版です。
「初めから全文を出しておけばよかった」
――このタイミングで調査報告書の全文を開示した理由は何か?
(機関投資家など)いくつかの大株主が詳しい説明を聞きたいと言ってきていた。株主だから閲覧権はあるが、彼らの希望は多くの株主が等しく情報を共有すべきだということ。そこで、4月9日に臨時取締役会を開いて全会一致で公表を決めた。
そもそも、不祥事があったから調査したわけではない。意思決定のプロセスで何か問題はなかったか、監査委員会の意思でやった調査だ。
報告書で経営上の機密事項を伏せると、何か隠しているようにみられるという意見があった。そのため、公表は要約でいいかなとなった。
今回、いくつか機密情報を伏せた(全文版を開示した)が、読んでみると(文意がすんなり)通る。初めから出しておけばよかった。
――報告書の要旨と今回の全文では、ニュアンスが微妙に違います。昨年の人事発表から今に至るまで、どう考えていますか?
東洋経済オンラインが4月9日に配信した瀬戸さんへのインタビュー(「リクシル、渦中の瀬戸氏が明かす対立の真因」)にはこのようなことが書かれています。
「リクシルは2月25日に要旨を公表した、潮田氏が瀬戸氏が辞任する意向があるように説明したこと、瀬戸氏に対して指名委員会の総意なので辞任を促した事実を認定している」
(調査報告書の)全文を見ればわかるように、結論は明確で「決議の有効性に疑義を差し挟むべき瑕疵が存在したとは認められない」とある。CEOおよび代表執行役の選任、解任はあくまで取締役会の権限と責任において行われるもので、(決議は)有効だということは瀬戸さんもわかっている。
(全文調査報告書の)4ページの下から10行目を見てください。
私はヒアリングの際、瀬戸氏は、「『潮田氏がLIXILグループのCEOに復帰するのであれば明日にでも辞める』と話していた」と説明しました。
それに対して、5ページの7行目。
潮田氏に対して、潮田氏がCEOに復帰するのであれば、すぐにても辞めると話したことがあることを認め、その発言の趣旨につき、「あくまで個人としてCEOという地位に執着するつもりはないという心意気にすぎなかった。」と述べている(瀬戸氏へのヒアリング結果)
これ、どう思いますかね?
――4月5日に瀬戸氏が開いた会見でもこれについて質問が出ました。瀬戸氏は、「愚痴」「揚げ足をとられた」と話していました。
社長と会長が話しているときに、あれ(辞めると話してたこと)は冗談ですってありえないですよね? 私は本当だと思った。そう思うのが自然じゃないですかね? ウソをついたわけではないが、こんな騒ぎになるというのは、当事者として申し訳ないという気持ちはある。
――報告書には、潮田さんが指名委員に対し、瀬戸さんが辞任する意思があるような誤解を与える言動をした旨が書かれています。
それは、この部分(全文の5ページ)ですよね。瀬戸さんとしては、「心意気にすぎなかった」という話。私は指名委員会に「(瀬戸さんが)言ったんだよ」と言った。それって誤解なんですかね?
――しかし、報告書には「誤解を与える」と。
それは両方の言い分で書いているからだが、全文の6ページの5行目から、「10月26日の指名委員会の終盤において、瀬戸氏の辞任の意思の有無を改めて確認すべきであるとの意見を述べ、その結果、潮田氏が早急に瀬戸氏の意思確認を行うこととなった」とある。
つまり、リコンファーム(再確認)しなさいという話が出た。瀬戸さんがCEOを退任する意向があるかどうかわからないという前提で議論が行われていた。したがって、瀬戸さんは(辞めると)言っちゃったから、(私が)言質をとって、「もう決まり」と言ったわけではない。その意味においてミスリードしたわけではない。
もう1つ、6ページに「瀬戸氏がきれいに辞める方法」と書いている。明確に(人事を決めた10月31日の)取締役会の前段階でその条件(瀬戸氏が2019年3月末までリクシル社長に留任すること、同年6月の定時株主総会までリクシル取締役に留任すること)まで合意ができていた。
――それを今回、瀬戸氏がひっくり返そうとしている、と?
結果としてそうなっている。また10月31日の交代会見でも、瀬戸氏は「私は辞めるつもりはない」とは言っていない。確か、後任にエールを送ってとか言っている。でも、翌日の報道で「引責辞任」と書かれて、気が変わったんじゃないですか。
「3年間経営をやっていなかった」
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