リスクマネーの逆流で世界中の市場が動揺し始めた。上昇相場のうたげは終わった。株価崩落を見据えて、警戒モードを強めるときだ。危機の所在を総点検する。
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2019年の金融市場は昨年末の流れを引き継ぎ、波乱の幕開けとなった。日経平均株価は1月4日大発会の終値が1万9561.96円と2万円割れ。それまであまり動きのなかったドル円が12月30日の1ドル=110円台から1月2日には一時104円台へと急速に円高に振れ、典型的なリスク回避相場となった。
直後の4日にFRB(米連邦準備制度理事会)のパウエル議長が利上げの休止やFRBのバランスシート(BS)縮小について見直しの可能性を示唆するや、市場は落ち着きを取り戻した。ただし、相場の回復は限定的で、警戒感の強さをうかがわせる。それも当然だろう。危機の火種が世界の至る所にくすぶっているからだ。
17年は世界経済が順調に拡大する中、FRBによる政策金利の引き上げでも長期金利は低水準で安定。株価上昇が続き「適温経済」と呼ばれる状態が実現した。
だが、18年に大きな曲がり角を迎えた。同年2月に米国発で株式相場が動揺。5月に米国の長期金利が3%に達すると、新興国市場からの資金流出が顕著となった。6月にはアルゼンチンの通貨ペソが急落し、同国はIMF(国際通貨基金)に支援を要請した。続いて8月にはトルコの通貨リラが暴落した。
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