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米中貿易戦争だけじゃない、原油相場に潜む波乱要因 1バレル50ドル割れに逆戻りも

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(theerapong28 / PIXTA)

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昨年後半に崩落した原油相場は気の抜けない展開が続く。昨年10月にブレント原油で1バレル=86ドルの高値をつけた後、3カ月足らずで40%超も下落した。

このときは、米国が予想外にイラン制裁に猶予を設けたことやシェールオイル生産の拡大ペースが上がったことから供給過剰感が急速に高まり、アルゴリズムトレードやオプション取引による売り圧力も影響した。12月上旬にロシアなどの非加盟国を含むOPEC(石油輸出国機構)プラスによる減産の決定があっても落ち着かず、一時1バレル=50ドルを下回り、市場心理が悪化したまま19年を迎えた。

昨年後半は原油相場の動向を見るうえで供給面が注目されたが、今年は需要も大きなカギを握る。世界経済の成長見通しは各機関で下方修正が相次いでおり、需要の不確実性が高まっているからだ。

とりわけ、米中間で続く貿易戦争の動向は、世界全体の成長への下押し要因にもなる。また、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締めは、長らく続いてきた流動性相場の終焉を意味する。

イラン制裁の猶予後 米国はどう動くか

現在、世界の原油需要は緩やかな拡大を続けるというのが業界のベースシナリオだ。だが、景気減速が予想以上に進めば、原油需要の縮小に加え、リスクマネーの一段の引き上げなどから、再び1バレル=50ドルを割り込む水準に逆戻りするおそれがある。

昨年の価格下落局面では、ファンドの大量のロング(買い)ポジション解消も大きかったが、流動性の枯渇が価格の振幅を大きくした側面もある。ボラティリティーの急上昇を伴いながら相場が崩れるリスクには注意しておきたい。

1バレル=50ドル割れの水準では生産コストに見合わない油田が多い。価格の回復が遅れるようだと、OPECプラスで一段の協調減産を実施する可能性が高い。そのため、生産調整期間の過度な価格下落を除けば、50ドルを大きく下回る状況が続くとは考えにくい。

一方、業界の構造的な変化にも留意する必要がある。近年、中質・重質原油の産出が多いOPECの市場シェアが低下し、軽質原油の多い米国のシェアが拡大している。米国が足並みをそろえない限り、原油全体の供給過剰が解消できないことから、「もはやOPEC主導の減産効果は限定的」という見方が強まっている。

供給面では、今年後半に米国で新パイプラインの稼働が予定されている。これでシェールオイルの一大生産地であるパーミアン盆地で輸送面のボトルネックが改善され、低コスト化した原油が市場に出てくる。これが長期的な価格下押し要因として意識され、今年後半以降、先物価格が現物価格よりも安くなるとみられ、スポット価格下落につながるおそれがある。

こうした世界的なリセッション懸念や供給面の要因に加え、米国のイラン制裁も原油相場の波乱要因だ。

昨年11月、米国はイランへの制裁を再発動した。ところが、原油取引に関しては、中国、インド、日本などの8カ国に6カ月間の猶予期間を認めている。これは原油増産に転じていたサウジアラビアやロシアのはしごを外した格好となり、米国の政策に対する信頼感を低下させた。猶予期間終了後の5月、トランプ大統領はどう出るか。原油相場の大きな焦点である。

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