東京地方検察庁特別捜査部の捜査には、特殊な文化がある。このことは、筆者のように特捜検察に逮捕され、取り調べを受けた経験のある者にしかわからないところがある。
特捜検察が独自に捜査を行おうとしても、警察と比較して捜査員が圧倒的に少ない。そこで検察が重視するのが、マスメディアと、ターゲット(標的)とする人物が所属する組織の内部抗争だ。11月19日に当時、日産自動車会長だったカルロス・ゴーン氏(64)は、羽田空港で検察官に任意同行を求められた。任意同行を拒否すれば、その場で逮捕されたはずだ。検察官は逮捕状を持参していたと思う。
筆者にはユニークな経験がある。2002年5月14日の午後2時すぎに、当時筆者が勤務していた外務省外交史料館(東京都港区麻布台)に検察官1人と数人の検察事務官がやってきた。検察官と事務官は外交史料館長室に入った。打ち合わせをしていたのであろう。数分後に、館長が筆者を呼んだ。館長が「こちらにおられるのは東京地方検察庁の検事さんだが、佐藤君に話を聞きたいので検察庁に来てほしいと言っているんだ」と伝えた。筆者は「せっかくのお話ですが、任意ならば行きません」と答えた。すると、目を血走らせた事務官が興奮して「佐藤さん、わがままですよ」と上ずった声で言った。
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