地域全体の非核化目指せ 核抑止の効果に疑問
4月の北朝鮮と韓国との南北首脳会談を契機に、朝鮮半島の非核化が動き始めた。だが、非核化とは具体的に何をすることなのか。その実務に詳しい長崎大学の鈴木達治郎教授に聞いた。
──非核化とは、どんなことを行うのか。そのプロセスはよく知られていません。
まず現状より悪くならないようにすること。南北首脳会談により情勢の緊張緩和が進みつつあるが、6月12日の米朝首脳会談でさらに進展させることだ。軍事対立が起きない環境作りをしてこそ、非核化へのステップを踏むことができる。
──非核化に際し、最も重視すべき点は何でしょうか。
検証できることが重要だ。北朝鮮が核分裂性物質の生産をやめ、それをきちんと検証できるようにする。北朝鮮が秘密にしている核関連施設があるかもしれないが、すでに存在が判明している施設や兵器など、目に見えるものの活動を停止、あるいは減らすことを検証すべきだろう。
──北朝鮮のような閉鎖的国家で、検証は可能でしょうか。
米朝2国間に調整役となるような国が参加するなど、多国間態勢を整えるべきだ。たとえば2015年のイラン核合意では、米英など6カ国にEU(欧州連合)も加わった。またIAEA(国際原子力機関)も通常より厳しい査察内容とした。要は、北朝鮮や米国などが途中退場しない態勢であること、そして国際的な検証を可能にし対話が途絶えないようにすることが大事だ。核関連物質や施設、兵器が北朝鮮国内のどこにどれだけあるのか、過去のデータも含めてきちんと申告させる。さらに、北朝鮮や米国が納得できる検証を行える相互検証システムをいち早く作ることだ。
──一方で、被爆国である日本は、核兵器禁止条約の締結はおろか交渉にも参加しませんでした。
日本や韓国など非核保有国で米国と同盟関係にある国は、米国の核の傘が安全保障の柱になっている。だが北朝鮮の核開発がここまで問題になった今、その抑止力は本当に効果があったのかどうか。米国の核兵器が存在し、米国の核抑止力をアピールすればするほど、北朝鮮は核兵器をあきらめなくなるのではないか。
──核兵器に依存しない安全保障策はあるのでしょうか。
核問題を含めた地域の安全保障のために「北東アジア非核兵器地帯」の設立を、長崎大の核兵器廃絶研究センターは提唱している。「非核兵器地帯」とは、核兵器が排除された、一定の地理的範囲のこと。これを国際法上の制度として作る。中でも、核兵器地帯に含まれる非核兵器国に対し、核保有国が核攻撃や威嚇を行わないことを国際条約で守らせることが重要な中身だ。すでに東南アジアや南太平洋など、世界には七つの非核兵器地帯がある。
非政府機関が中心となって各国の専門家が話し合う、信頼醸成を高める仕組みも必要だろう。対話の窓口をつねに持ち続け、不信感を少しでも緩和することが重要だ。
(聞き手・本誌:福田恵介)






















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