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ユーグレナ 社長 出雲 充 起業家の子ども時代「出る杭を育てる」第4回

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「人と地球を健康にする」。そんな理念を掲げ、創業10年目の2014年に東証1部上場を果たしたのがユーグレナだ。藻類のミドリムシの大量培養に成功し、健康食品や化粧品、バイオ燃料など幅広い分野で事業を展開する。創業社長の出雲充(38)を形作ったのは、どんな子ども時代だったのか。

(ジャーナリスト:吉井妙子)

放任主義で培った自立心

「うちの母は“プロの放任主義者”だったんだと思いますね。恥ずかしがり屋なので表に出ませんが、今考えれば、母の風呂敷の中で育ったことがわかる。その風呂敷がとても大きかったんだと思う」

充は遠くを見ながらそう言った。東大入学後に訪れたバングラデシュで目にした貧困に衝撃を受け、貧困問題の解決のために栄養素の知識を身に付けようと決意、その後ミドリムシと出合う──。それがよく語られる充の起業へのストーリーだ。だが、そんな充の人間性が養われたのは、子ども時代の環境にさかのぼる。

充は1980年、業務用コンピュータを扱うエンジニアの父、専業主婦の母の下に、広島県で生まれた。その後、川崎市で暮らし、2歳のときに弟・渉が生まれたのを機に、東京・多摩ニュータウンに引っ越した。

「かつての典型的なニューファミリー族。所得も行動様式も同じような家族が街を彩っていた」(充)

自然が色濃く残っていた環境と、会社人間で博学な父、かつてピアノ教師だった母に囲まれ、充はすくすくと成長した。ちなみに弟の渉は現在、東京女子医科大学病院消化器外科の助教で、膵臓(すいぞう)がんに高い見識を持つ外科医だ。

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