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東洋文庫の創設と図書館のあり方 研究図書館としての意義

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  • 岡本 隆司 早稲田大学教育・総合科学学術院教授

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過日、東京は駒込、六義園(りくぎえん)の近くにある東洋文庫を訪れた。ここはおよそ百年前、G.E.モリソンという人物の蔵書コレクションを中核にできあがった東洋学専門の研究図書館である。

専門の関係で、この施設とのつき合いは、かれこれ足かけ三十年以上。けれども今回は、まったくの観光・見物であった。純然たる物見遊山は、おそらく初めての経験である。

はじめて訪れた時から、世界屈指の規模を誇る図書館だった。くわえて現在は、改築を経て装いを一新、ミュージアムも兼ねている。おかげで専門の研究では意識していなかったことに、あらためて気づかされる訪問になった。

稀代の蒐書家だったモリソン

オーストラリア出身のモリソンは、もとジャーナリスト、イギリス『タイムズ』紙の北京駐在の特派員だった。日露戦争や義和団、辛亥革命に関わるスクープで名をあげ、「北京のモリソン」などといわれた著名人である。1912年に中華民国が成立すると、その大総統府の外国人顧問になった。二十一カ条要求など、日本の対中政策とも深く斬り結び、東アジアの運命にも深く関わっている。

そんなモリソンは稀代の蒐書(しゅうしょ)家でもあって、古典籍・稀覯(きこう)書をふくむ中国・アジアに関わる洋書を組織的・網羅的に集めた。その数およそ二万四千点。北京王府井の自宅に建てた巨大な書庫に収蔵し、半ば公開していた。

1917年、モリソンが売却したこのコレクションを購入したのが、三菱の総帥・岩崎久彌(いわさきひさや)である。まもなく自身の蔵書と合わせて、東洋文庫を設立した。つまり昨年は、モリソンのコレクションが日本に渡来してから百周年になる。そこで図書館の現況には、やはり思いを巡らせざるをえない。

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