外食、映画、ショッピング。今や中国の大都市では日常風景となったモバイル決済。だが急速な取引規模の拡大を受け、政府が管理を強めようとしている。
日本ではあまり報道されていないが、昨年12月27日に中国人民銀行が「バーコード支払業務に関する規範(試行)」という文書を公布した。これは二次元バーコード(QRコード)の読み取りを通じたモバイル決済の広がりを受け、その巨額な取引および資金の流れを政府当局が管理し、リスクを軽減しようとするものだ。
その背景にはアリペイ(支付宝)、ウィーチャットペイ(微信支付)など、いわゆる第三者決済の規模拡大がある。第三者決済とは、一定の取引規模と信用保証機能を持つアリババなどの大手IT企業が、各銀行と直接契約を結ぶことによって、銀行の支払い決済システムと連動した決済プラットフォームを提供するものである。中国のような信用取引が根付かない社会で、第三者決済は顧客による評価システムなどを通じて取引に伴うリスクを軽減し、商取引を活性化するうえで画期的な役割を果たした。
当初、第三者決済はオンライン上に限られており、オフラインでの決済についてはPOS(販売時点情報管理)システムを使った、銀行カードによる決済サービス「銀聯」が長らく主流だった。しかし、2013年に人民銀行が、第三者決済機関が銀聯を通さずオフライン決済に参入できるよう規制緩和を行うと、状況は一変する。
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