日本政治の土台が危ない 特別対談 飯尾潤×柿崎明二
自民党は10月22日の衆院選で大勝したが、「安倍一強」が強まったわけではない、と2人の識者は見る。問題はどこにあるのか。
与党3分の2 熱狂なき大勝
11月1日、第4次安倍内閣がスタートした。これから日本の政治はどうなっていくのか、与野党の課題はどこにあるのか。アカデミズムとジャーナリズムの第一線で政治を見続ける飯尾潤・政策研究大学院大学教授と柿崎明二・共同通信論説委員が語る。
──10月22日の衆院選は与党完勝でした。全体的な状況認識は?
飯尾 私は必ずしも安倍晋三首相が強くなったとは思わない。野党が弱かったので選挙では自民党が勝ったが、議席数は選挙前とさほど変わらない。むしろ希望の党の結成直後、「反安倍」の機運が盛り上がり、安倍政権の基盤の脆弱さが明らかになってしまった。安倍首相は計算どおりの勝ちを得ておらず、安倍政権への支持は盤石ではない。今後は自民党内をまとめる苦労が予想され、「安倍一強」がさらに強まるとはいえない。
──安倍首相が計算どおりの勝ちを得ていない、とは?
飯尾 議席数ではなく、勝ち方の問題だ。今回の総選挙では後遺症が残ってしまった。政権基盤の脆弱さが見えたことを国民は忘れない。また、野党がガタガタに弱くなってしまったので、安倍首相は野党との対決で自民党内をまとめるという手法を使いづらい。280議席超と大勝してしまったので、衆院の解散権を使って自民党の陣営をまとめることも難しくなった。
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