老朽マンションの隘路 建て替え"タダ"は幻想
マンションの老朽化が進む一方、建て替えは思うように進まない。
四ツ谷駅から徒歩5分の一等地に建つ「四谷コーポラス」(新宿区、写真上)。1956年に日本で初めて民間企業により分譲されたマンションだ。
当時はメゾネットタイプの間取りで床はフローリング、各戸に浴室が設置されるなど、時代の最先端を行く高級マンションとして注目された。
ただ、最近は耐震性不足や排水管の水漏れなどのトラブルが重なり、修繕での対応が困難な状態になっていた。今年5月に所有者全員の合意で建て替えが決まった。
2019年7月に完成予定の新しいマンションは、建物を大型化し51戸(現28戸)に増やす。
同マンションに住む島田勝八郎さん(72)は、「分譲当時からの所有者が多く、建物に対する思い入れは強い。建て替え後は若い人も増えるだろうが、新旧の住民が交流できる環境を作りたい」と話す。
建て替えに当たって1戸当たり数千万円程度の“持ち出し”は必要になるが、住民の9割が売却せず再入居を希望している。
資金捻出厳しい高齢者
1棟の建物区分所有を認めた、区分所有法が制定されたのが62年。それ以降、集合住宅の建設は急増した。築50年以上の老朽マンションは16年末時点で4.1万戸ある。老朽予備軍を含めた築30年以上のマンションは172万戸に上る。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら