現代の日本で労働組合はいかにあるべきか。「伝説のオルグ」と呼ばれ、半世紀近くにわたり労組の拡充のために奔走した日本労働組合総連合会(連合)中央アドバイザーの二宮誠氏に聞いた。
そもそも労働運動は世界的に、格差や差別、貧困との闘いから生まれた。日本ではGHQ(連合国軍総司令部)の奨励を受けて多くの労働組合が結成された経緯があり、草創期においては労使関係の中で不利益を被っている中卒の人が組合活動の中心にいた。私が労働運動にかかわり始めた45年前にも、大卒は役員になれない労組が結構あった。つまり、労組の存在意義とそれを担う人が一致していた。
ところが近年は、労使関係において最も不利益を被っている人が運動の主体になっていない。個別の問題を抱えた正社員や非正規社員がそうであるし、大企業の子会社でも組織率が極めて低い。結局、今の労働運動は一部の大手企業の正社員が「自分たちさえよければ」という意識で担っている。自社の事業にかかわる非正規社員や下請け企業社員との間にある格差について考えない。また、サービス業はストライキが企業活動に甚大な打撃を与えることもあって労組の組織率が低く推移しているが、これについてもあまり関心がない。
原因は日本の労組が企業別組合だという点にある。欧米では産業別組合が中心で、活動内容も労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)に基づいたものだ。ところが日本の労組は労使協議会で経営課題もやる。この結果、経営に過度に協調してきた。
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