僕らの「クルマ」論。 スマホの宴が終焉 電子部品の大転換
スマートフォン向けから自動車向けへ──。成長モデルの転換期に差しかかった電子部品会社トップが今後の戦略を語る。
「スマートフォンは電子部品業界にとって最悪の製品かもしれない」。ある電子部品大手の幹部は深刻な表情でそう話す。
耳を疑う発言だ。2015年度の電子部品各社の業績を見ると、村田製作所、TDK、アルプス電気といった大手はそろって過去最高益を更新している。原動力は間違いなくスマホ向け需要の拡大だった。
07年に米アップルがアイフォーンを発売したことを皮切りに、スマホ市場は劇的な成長を果たしてきた。米調査会社ストラテジー・アナリティクスの調べによると、10年に2.9億台だった世界のスマホ出荷台数は15年に約5倍の14.2億台に成長。電子部品業界にとっては“最悪の製品”どころか、躍進の立役者とすらいえる。
スマホの次は自動車 電装化は3段階
しかし、スマホ拡大の裏でデジタルカメラや音楽プレーヤー、パソコンなど、これまで電子部品業界を支えてきた製品がスマホに侵食され市場規模を落としてきたのも事実。スマホ向け比率が低い日本電産などを除き、多くの電子部品各社はいや応なく成長をスマホに依存せざるをえなくなっていた。
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