通常国会が閉幕した6月1日、安倍晋三首相は消費税増税の再延期を表明した記者会見で「これまでの約束と異なる新しい判断。参院選で国民の信を問いたい」「与党で改選議席の過半数を」と語った。同時に「頭の中を解散がよぎったことは否定しない」と述べ、衆参同日選挙に意欲的だったと認めた。
報道によれば、同日選断念を決めたのは5月26〜27日の伊勢志摩サミット(主要国首脳会議)の数日前だったようだ。在任中の憲法改正実現を目指す安倍首相は、自民党総裁任期満了の2018年9月までに1回しかない今夏の参院選で、改憲案の国会発議に必要な総議員の3分の2を改憲勢力で確保することを狙って、「やれば与党大勝」といわれてきた同日選に最後まで執着した。だが、同日選には、公明党の反対や与党内の解散権濫用批判だけでなく、選挙戦術の面でも懐疑論が強かった。
第一は投票率と勝敗の関係だ。自民、公明両党は総選挙では投票率59%の12年、53%の14年に勝ち、69%の09年は大敗した。「低投票率で勝利」が方程式となっているが、過去2回の同日選は1980年が75%、86年が71%と高投票率だった。
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