東亜建設が遺した爪痕 マリコンでも工事偽装
独自工法に“傷”は付けられない。焦りが組織だった隠蔽行為に走らせた。
羽田、福岡、松山(愛媛)の3空港で行われた、液状化対策工事。万が一の大震災に備えて万全の安全策を講じたはずが、実際には施工ミスとその隠蔽行為が繰り返されていた。
「このような隠し事があり、非常に残念で申し訳ない。再発防止に向けて全社一丸でやっていきたい」──。
そう言って頭を下げたのは、マリコン(海洋土木会社)業界2位、東亜建設工業の松尾正臣前社長だ。同社は、地盤を固めるために必要な薬液の注入量が不足していたにもかかわらず、国土交通省にはすべて注入したかのように報告していた。松尾氏は経営責任を取って辞任、6月1日に相談役へと退いた。
偽装発覚の発端は4月中旬。羽田空港のC滑走路工事を担当した2次下請けの作業員から、施工不良の報告が1次下請け業者を通じ、東亜に入ったことだった。東亜はすぐ社内調査に着手。国交省に同工事の施工不良を申し出た後も、複数の工事でデータ改ざんが明らかになった。
過去10年で東亜が請け負った官公庁の薬液注入工事は30件。注入不足が判明した5件に加え、八代港(熊本)の岸壁工事では、提出した土砂サンプルが偽造されていたのが判明した。民間の26件も確認中だが、成田国際空港が発注した千葉港護岸工事で施工不良が見つかり、官民で計7件と影響は広がっている。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら