企業再生の際によくあるのは、官製ファンドが甘い薬を提示する一方、民間企業がより厳しい条件を出すという構図だ。しかし今回は逆。産業革新機構がシャープ経営陣の交代、事業解体などの苦い薬を示した一方、鴻海は経営陣を温存する、企業としての一体性を維持する、といった甘い薬を提示した。
基本的に企業再生に甘い薬は効かない。経営陣だけでなく従業員、金融機関や株主も苦い薬を飲まないと、企業の再生などできない。そういう点でシャープの再建策は、革新機構の案のほうが鴻海案よりよくできていた。
革新機構をファンドとして見た場合、ジャパンディスプレイ(JDI)を統合させれば経済合理性もあり、買収は当然の判断だ。官だからけしからんという批判は、今回の事例には当てはまらない。
それでもシャープが鴻海案に傾いたのは、金融機関や経営陣が甘い薬に飛びつくタイプであると、テリー・ゴウ氏が見抜いていたからだろう。その点で交渉者としてはテリー氏が一枚うわてだった。
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