エコカーの“救世主" ディーゼルは死んだか VWが推進したディーゼル車。不正で暗雲
独VW(フォルクスワーゲン)による排ガス規制不正問題。10月初旬にはリコール(無料回収・修理)対策が公表され、かなり早い段階で、自動車業界最大のスキャンダルの全容が明らかにされていくだろう。
流動的な要素は多いが、今回の不正問題を受けて、これからの構造変化を三つの視点で考えてみたい。第一にVWブランドが被る販売台数減、第二にディーゼルエンジンの将来とエコカーの勢力図、第三にドイツ自動車産業の国際競争力、の3点だ。
墜ちたVWブランド
VWにとって、販売停止などの短期的な混乱よりも、毀損したブランド価値の中長期的なダメージのほうが、深刻な問題と懸念される。しかし、過去の大規模な品質問題などで各ブランドが復活できたように、VWの信頼回復は可能と考える。自動車産業では、長い保有期間を通し、メーカーとユーザーに親密な関係が存在するためだ。
たとえば、2010年の米国市場に端を発した、トヨタ自動車の品質問題がある。震源地の米国で、トヨタブランドから同じトヨタへ乗り換えるロイヤルユーザー(全体の60%)への影響は、限定的だった。一方で、競合ブランドからトヨタにスイッチするユーザー(同40%)は、平時から2割減ったという。
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