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『戦後経済史』 『日本と中国、「脱近代」の誘惑』など

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戦後経済史
戦後経済史(東洋経済新報社/360ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
のぐち・ゆきお●早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。1940年生まれ。東京大学工学部卒業。大蔵省入省。米イェール大学でPh.D.(経済学)を取得。一橋大学教授、東大教授、米スタンフォード大学客員教授、早大大学院ファイナンス研究科教授などを経る。

疑問や懸念を喚起する随所での「違和感」

評者 上智大学経済学部准教授 中里 透

われわれは70年に及ぶ「長い戦後」を生きている。

「戦後」の時間的な起点を1945年8月とすることについては幅広い合意が得られるが、戦後の政治や経済を支えてきた体制がどの時点で形作られたのかをめぐっては、さまざまな議論がある。

教科書的な説明では、財閥解体や農地改革などの民主化政策によって、戦前とは違った自由な経済体制が確立され、そこに誕生した新たな企業が日本経済を牽引していったというのが戦後経済史の出発点ということになるが、本書にはこの通説とは異なる興味深い見方が提示されている。

それは、戦前の国家総動員体制のもとで形成された経済システム(間接金融を通じた資金の配分、企業別労働組合を通じた協調的な労使関係、経済活動に対する政府の広範な介入など)が戦後も生き残り、総力戦経済体制のもとで戦後復興と高度成長が成し遂げられたという「1940年体制史観」だ。

この体制は、重化学工業中心の産業構造と垂直統合型の生産方式にうまく適合するものであり、戦後の経済成長を実現するうえで大きな役割を果たしたと著者は評価する。

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