中国株が波乱展開である。上海総合指数は、昨年3月安値1974から今年6月高値5178まで、実に約2.6倍になっていた。
今年前半の中国株上昇の原動力は、人民銀行の連続的な超金融緩和策である。昨年11月以降、人民銀行は利下げ・預金準備率引き下げを次々と断行しており、典型的な過剰流動性相場の色彩が濃厚であった。
この超緩和策の背景には中国経済の一段の鈍化がある。鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資といった主要経済統計は、長期の鈍化トレンドをたどっている。習近平政権は、需給を無視した「GDP(国内総生産)成長第一主義」の弊害を強く認識しており、「質の伴った成長」を標榜している。主要経済指標の低下も、「新常態」(ニューノーマル)への転換期にあるためと解釈していた。
しかし、過剰マネーによる不動産バブルは2013年をピークとして崩壊し、企業、個人に巨額の含み損を抱える向きが増加していた。不動産投資は中国経済の牽引役でもあったため、景況感の悪化は避けられなかったのである。
そこで、中国政府・当局が注目したのが、バーナンキ流の超緩和策であった。連続的な緩和策で家計と企業のバランスシートを改善させ、個人消費や設備投資の浮揚を狙ったものである。
ところが、この超緩和で一段と膨らんだ余剰マネーは、奔流となって株式市場に流れ込んだ。象徴的なのは、信用取引の買い残高の膨張である。昨年6月には3900億元だった信用買い残高は、今年6月のピークには2.2兆元と約6倍に膨れ上がった。
中国本土株市場では、個人投資家の売買シェアが8割以上であり、どうしても一方通行的な相場になりやすい。上海総合指数は、07年の株式バブルで高値6124をマークしたが、翌年には1664まで約4分の1に暴落した歴史を持つ。今回も、実体経済や企業業績が右肩下がりのカーブを描き続ける中での株価高騰である。ファンダメンタルズと株価の乖離が極大化すれば、ショック安が起こるのは時間の問題だった。
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