有料会員限定

独立したい人々 第5回

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

スコットランド独立を問う住民投票、ロシアのクリミア編入…。既存の国家の枠組みを揺るがす動きが相次いだ2014年。世界に独立の火種がくすぶる底流を、あらためて探る。

国家の統治能力は限界に来た

細谷雄一 慶応義塾大学法学部 教授

ほそや・ゆういち●1971年生まれ。立教大学法学部卒業、英バーミンガム大学大学院国際関係学修士。慶応義塾大学法学博士。(撮影:今井康一)

世界の複数の地域で起こっている分離・独立の問題を読み解く一つのカギが、「統治能力の限界」です。グローバル化が進んだ結果、国家の政策で変えられる領域は非常に限定されるようになりました。

たとえばアベノミクスが成功するかどうかは、米国の株価と中国の景気にかなりの程度左右されていますね。またエボラ出血熱を水際で食い止めようとしても、シエラレオネから直接入国する人を止めることはできても、第三国を経由した人は止められない。このように、ナショナルなレベルがグローバルな問題をどこまで解決できるのかといったら、ほとんどできないのが現実です。

国家の統治能力が下がり、中央政府によるマニプラビリティ(操作可能性)が以前よりも低くなった一方で、非常に矛盾した現象が起きています。それは雇用や景気、生活に対する国民の要求水準が逆に上がっているということです。この二つが衝突すると何が生まれるか。それは中央政府に対する失望です。そしてこの失望はポピュリズムを増長させます。

関連記事
トピックボードAD