ベルリンで行われた日本に関する会議に出席した。初めてのベルリンで、とりわけ印象的だった事実がある。こと歴史に関していえば、ドイツは日本とは違う。確かに日本の戦争犯罪はホロコーストとはまったく別物だが、だからといってその凄惨さが劣るわけではないし、薄らぐものでもない。
ベルリンでは、街中にホロコーストの記憶を見いだせる。歩道に「つまずきの石」を見掛けるが、次のような文字が刻まれている。「ここに居住していた誰々は、Xキャンプで194X年に命を絶たれた」。ある芸術家によって92年に始められ、今ではドイツ中に約2800個ある。
バイエリッシェ・プラッツのあたり、アインシュタイン氏とハンナ・アーレント氏が住んでいた地域には変わった記念物がある。街灯柱にニュルンベルク法が記されているのだ。この国のかつての法律の文章を見たときは大きな衝撃だった。たとえば「ユダヤ人が食料を購入できるのは午後4時から5時の間のみとする」「ユダヤ人は電気製品をすべて没収されなければならない」などだ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら