英単語や漢字「アプリで覚える」公立の学校でも着々広がる背景 墨田区・錦糸中学校、ICTで基礎学力の向上へ
また、国語については「国語という教科の特性上『書く』ことは大事だが、漢字などの覚える学習においては、ICTの活用が有効」と磯﨑氏は話す。「今後は生徒の語彙を増やす活動にも『モノグサ』を活用したい。生徒は、文中の言葉が難しいとそこで引いてしまうため、言葉の数を増やす重要性を感じている」という。
今回の実証事業において、英語と国語の2教科でそれぞれ大きな成果をもたらしたのは、河内氏や磯﨑氏が各教科の課題を的確に把握し、効果的にICTツールを取り入れたことが大きい。
錦糸中学校の取り組みではアプリ頼みにするのではなく、「モノグサ」のスタンプ機能で毎週生徒たちの活用状況に合わせて笑顔などのリアクションを個別に送ったほか、教員が協力して朝の会や授業中に声がけするなどの工夫も行った。「アプリと対面の両方で生徒たちの頑張りを見ているよと毎日伝え続けたことも、学習の継続につながった」と、磯﨑氏は話す。
読み、書き、計算といた基礎学力をつけるには、紙のノートを使うにしてもICTを活用するにしても継続することが欠かせない。一度つまずくと、その後の学習への影響が大きく、苦労している子どもは実際に多いことから、こうしたアナログの声がけは学校現場だからこそできることであり、ICT端末やツールを効果的に生かす秘訣なのかもしれない。
では、こうした公立学校での学習アプリの活用は、どのくらい進んでいるのだろうか。「モノグサ」では、公立高等学校での導入実績はあるものの、公立の小・中学校においてはまだ複数の自治体と実証事業の段階にあるという。
今後も、公立学校で活用が広がるには「ICTが、学力向上にも寄与できると示すことが重要と考えている」とモノグサ代表取締役の竹内孝太朗氏は話す。実際、「モノグサ」の活用で成績が伸びている学校では、「自己肯定感の欠如や学習習慣形成の難しさなどの課題が、学力向上で根本的に解決できると実感してもらっている」(竹内氏)という。
まだ公立では、端末の活用もままならない学校があり、一気にこうした学習アプリが広がっていくことは考えにくい。だが、紙と鉛筆ではなかなか勉強に取り組めなかった子が、ICTならばできたという事例は各所から聞こえてくる。子どもたちが自分の興味や特性に応じて学び方を選べる環境が整うことを願うばかりである。
(文:相川いずみ、注記のない写真:錦糸中学校提供)
東洋経済education × ICT編集部
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