71%がストレス低減「マインドフルネス」を学校で行う効果とは? 教員や学生のセルフケア支援で導入する学校も

参加校は2グループに分け、第1グループは1学期、第2グループは2学期にそれぞれ8週間、1回10分程度のマインドフルネスの動画プログラムを朝の会などで毎日視聴・実践。そして各グループに、プログラムの実践介入前後に質問票に回答してもらい、子どもたち(小学4~6年生279名)の状態を比較した。

検証には兵庫教育大学大学院教授の藤原忠雄氏、早稲田大学人間科学学術院助教の髙橋徹氏の監修の下、「リラクセーション感」「ストレス反応」「共感性」「自己統制」「自己肯定感」の5つの尺度で構成される「マインドフルネスの効果測定尺度」を使用。尺度ごとに介入前後のデータに有意な差があるか検証した。
「この結果、マインドフルネスを2カ月間継続することで、ストレス解消の効果を有する可能性が統計的に確認されました。リラクセーション感、ストレス反応の尺度のどちらか、または両方に改善が認められた子どもは、全体の約71%にも及んでいます」
このプログラムを実践した学校の教員によれば、「実践後の授業は、明らかに子どもたちの集中度が違う」「何か嫌なことがあったときに、子どもが自分で実践している」と評価は高い。
子どもたちからも「スーッとして気分がよくなった」「テストの前にやったら気持ちが落ち着いた」「小学校はみんなこれをやったほうがいい」といった感想が集まり、手応えを感じているという。
実証実験に参加した小学校の中には、毎朝1〜3分程度のメディテーション(瞑想法)を継続して行っているところがあるほか、気に入って自分が実践するようになった教員もいるそうだ。
「マインドフルネスは、本質的な問題を解決するものではありませんが、ストレスをケアする対症療法的なツールとして有効だと実証実験からもわかりました。また、このプログラムは、専任インストラクターがいなくても実践でき、動画だからICT基盤が整いつつある教育現場でも使いやすい。お忙しい先生方に負担が少ない形で提供できた点も1つの成果だと思います」と、橋本氏は話す。
同社は先頃、コロナ禍による学級閉鎖などの足元の状況を受け、その影響を受けている子どもたちのメンタルヘルス改善のために、全国の小学校にプログラムを無償提供することを決めた。現在、同社ホームページの専用フォームから申し込むことができる。
当面は個別対応が続くが、ゆくゆくはコンテンツをさらに充実させてサブスクリプション視聴できるようにするなど、もっと学校が使いやすい形にして広げたいという。
(文:田中弘美、編集部 佐藤ちひろ、写真:Melon提供)
東洋経済education × ICT編集部
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