特殊仕様があだに?消えゆく「列車内の自販機」 JR九州は3月末で終了、一方で存続する鉄道も
車内販売が廃止されると、専用のカウンターなども設けて豪華さとサービスを売りにしていた「VSE」は一転、車内販売どころか飲料自販機もないということになってしまった。
一方でVSEと並ぶフラッグシップ車両としてつくった「GSE」は、車内販売カウンターなどは当初からなかったが、飲料自販機は設置した。これは車内販売のない通勤主体の特急「モーニングウェイ」などの使用を考慮したためだったのだろうが、豪華さには欠けても今となってはサービス維持につながったといえる。なお、同社は販売状況については回答を控えるとのことで、売れ行きについてはわからなかった。
車内で飲み物が手に入らない時代に
国鉄時代、新幹線や特急列車には飲料水の給水器(冷水器)があった。封筒のような紙のコップに水を注いで飲むものだ。当然ながら、当時はまだペットボトル飲料などはなかった。冷水器はJR化後に撤去が進み、そこに缶飲料などの自販機が置かれるようになった。
その列車内自販機にとって脅威となる存在が1990年代終わりに現れた。500mlのペットボトル飲料である。ふたを閉じることができ、サイズも持ちやすいこのサイズのペットボトルはまたたく間に広まり、駅の売店やホームの自販機で購入して車内に持ち込むのも容易になった。一方で、列車内の自販機は小型であり扱える商品も少なく、需要は低下していった。
車内販売の衰退や消滅については、駅構内のコンビニ増加などで飲料・食料の乗車前の購入が一般化したことや高速化による乗車時間の短縮などに伴う利用減少と採算性の悪化、人手不足などさまざまな理由が重なり、コロナ禍の前からその傾向は続いている。
そして車内の自販機も、利用の減少や取り扱える商品の少なさ、また自販機そのものの更新の問題などで相次いで姿を消している。列車内で飲み物を確保する手段は、一部の列車を除いてなくなりつつある。
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