特殊仕様があだに?消えゆく「列車内の自販機」 JR九州は3月末で終了、一方で存続する鉄道も

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2021年3月末で車内の飲料自販機を廃止するJR九州の800系新幹線(写真:tetsuo1338/PIXTA)

JR九州は1月14日、九州新幹線の800系と在来線特急列車の車内に設置している飲料自動販売機のサービスを3月末で終了すると発表した。駅構内でのコンビニエンスストアや飲料自販機の拡充、新型コロナウイルス感染症の拡大などによって利用者が減少しているというのがその理由だ。

近年、多くの鉄道会社で車内販売が廃止されているが、車内の飲料自販機も相次いで姿を消している。JR東日本やJR東海は新幹線、特急ともにすでに設置をやめた。他社でも新型車両では自販機を見かけないケースがほとんどだ。一方で、近年の車両にも設置を続けている鉄道もある。

販売はかつての7割減

実際のところ、利用はどのくらい減ったのだろうか。まずは今回廃止を発表したJR九州に聞いた。同社によると、車内自販機の終了は発表のとおり利用の減少が大きな理由で、以前に比べて7割減の状態にあったとのことだ。また、同社の車内自販機は交通系ICカードでの決済に対応していないという。キャッシュレス化を推し進める現在の鉄道業界においてはこの点もマイナス面の1つになったと考えられそうだ。

2021年8月31日に特急車内の自販機サービスを終了した東武鉄道にも聞いてみた。廃止の理由は「ペットボトル飲料が普及し飲料の携帯が可能になったことにより、事前にコンビニなどで購入してから乗車するお客様が多く、販売数量が僅少となったため」で、販売状況はピーク時の30%だったという。つまり7割減で、これはJR九州とほぼ同じだ。

ただ、車内自販機の抱える課題は販売減以外にもあるようだ。

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