PTAの委員会制を廃止「ボランティア制」の現実味 大人が楽しく子どもに必要な活動を行う組織へ
高木氏の前任校のPTAは「委員会制」でなく、登下校の見守りやベルマーク収集など、活動ごとにボランティアを募集する「ボランティア制」で、比較的多くの保護者が活動に参加していたという。
「当校でも試してみる価値があると思い、19年の運動会の際、学校連絡メールで前日準備やテントの片付け、当日のパトロールなどのボランティアを募集してみたのですが、たくさんの方が手を挙げてくださいました。『PTA役員になるのは無理だけれど、子どもたちのためにできることがあれば手伝います』というスタンスの保護者が多いことを肌で感じました」
改革の方向性として、住田氏も以前から口にしていた「ボランティア制」が現実味を帯びてきたという。
「日枝小学校PTA」から「日枝っ子友の会」へ
そして20年。コロナ禍により、PTA活動がストップ。
「これまでどおりの活動ができず、困ったか?と問われると、そんなことはないわけで。ならば、ここで変えてしまおうと。本部役員・委員の皆さんに、『今までの活動にとらわれることなく、参加する保護者が自分の好きなことや得意なことを生かしたり、活動に関わる大人が楽しんだりワクワクしたりしながら子どもたちに必要な活動を行う団体にしていきましょう』と呼びかけました」と、住田氏。
子どもたちのために、どのような組織でどのような活動をしていくのか。学校と保護者で検討を重ねた結果、ボランティアを核とした新しい組織が発足した。その名も、「日枝っ子友の会」。本部・委員会をなくし、「子どもたちのためにしてあげたいことを、できるときに、できる人・やりたい人がやる」という方針のコミュニティーだ。
子どもたちと保護者をつなぐ“まとめ役”として存在するのが、「こーでぃねーたー」だ。「こーでぃねーたー」の任期は1年で、本人の立候補をもって選出。子どもたちのためになる活動の企画を立て、その企画を一緒に行うボランティアを全保護者から募集し、活動を行う。
「肩書や会合への義務感や負担感など余計な感情にとらわれず、オープンな形で『子どもたちのために何ができるか』を考えていけるようなコミュニティーにしていくためにも、PTA、本部、実行委員会、運営委員などの名前をすべてなくしました。新しい役職である『こーでぃねーたー』もあえてひらがなにしたことで柔らかい雰囲気になり、参加へのハードルが低くなると思います」(高木氏)
保護者へのお便りで「日枝っ子友の会」の設立と目的をお知らせし、「こーでぃねーたー」を募集したところ30名を超える応募があり、21年4月、「日枝っ子友の会」の活動がスタートした。
21年度は、「こーでぃねーたー会議」で出されたたくさんのアイデアの中から、子ども向けのイベントの開催、ベルマーク収集、広報誌発行、以上3つの活動を行っている。平野氏は、「こーでぃねーたー」として子ども向けのイベントを担当。
「コロナの影響で予定や内容が変更された部分もありますが、10月にハロウィーンバージョンの縁日、12月には体育館を会場にお化け屋敷を開催しました。私を含め8人の保護者でイベント準備などを行ったのですが、『親が楽しまないと子どもも楽しめないから、みんなで力を合わせて仲良くやろう』という雰囲気が最初から出来上がっていて(笑)。
子どもたちに喜んでもらえたのはもちろん、周りの保護者からも『うちの子がとても喜んでいました』などと声をかけてもらってとてもうれしかったですし、『こんなPTA活動がやりたかったんだ』と、再認識しました。私たちの思いを酌み取り、新しい組織づくりへと導いてくださった先生方には本当に感謝しています」
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