PTAの委員会制を廃止「ボランティア制」の現実味 大人が楽しく子どもに必要な活動を行う組織へ

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住田昌治(すみた・まさはる)
横浜市立日枝小学校 校長
1958年生まれ。島根県浜田市出身。1980年より横浜市の小学校に勤め始める。2010〜17年度横浜市立永田台小学校校長、18年度より横浜市立日枝小学校校長。ユネスコスクールに加盟し、ESDを推進。独自の実践を重ね、多くのメディアで取り上げられる。著書に『カラフルな学校づくり ESD実践と校長マインド』(学文社)、『管理しない校長が、すごい学校組織をつくる! 「任せる」マネジメント』(学陽書房)がある
(撮影:尾形文繁)

「子どもたちの健やかな成長のためには、学校と保護者との協働は欠かせません。PTAはそのための組織ということになりますが、そもそもボランティアなのに、一部の保護者がつらい思いをしながら続けるのはおかしいですよね。

まずは本部役員の皆さんの声を聞こうと、月に一度、校長室で一緒に給食を食べながらざっくばらんにいろいろ話すことから始めました。対話を重ねるうちに、『これまでのPTAのあり方を変えたい』『本部をなくしたい』という声が上がり始めたのです。当事者からこのような声が出てくるタイミングが、改革のチャンスです。改革するならどのように変えていけばいいのか。対話を重ね、他校の事例なども共有しながら新しい組織像をみんなで考えていこうとなりました」という住田氏。平野氏も、当時をこう振り返る。

「校長先生が折に触れ言ってくださった『無駄だと思うことはやめようね』という言葉に安心し、校長室にしょっちゅう足を運んで(笑)意見を言わせていただきました。『PTAがよりよい組織になってほしい』『後に続く保護者に、私のような苦労は味わってほしくない』という使命感のようなものも大きかったです」

キーパーソンが、もう一人存在する。

教務主任の高木広希氏だ。同校に勤務して9年目になる高木氏もまた、教職員の立場で、これまでのPTAのあり方や運営方法に以前から問題意識を抱いていたという。

高木広希(たかぎ・ひろき)
横浜市立日枝小学校 教務主任
横浜市内の小学校勤務を経て、2013年より同校に勤務。21年度、横浜市立日枝小学校「日枝っ子友の会」の学校窓口を務める
(撮影:尾形文繁)

「毎年4月に保護者の方との懇談会を開催するのですが、『懇談会の後にPTAの役員決めがあるから…』という理由で、参加者が非常に少ないのです。クラス開きの大切な時期に保護者の方々と顔を合わせることができない状況をどうにかしたいと、教職員同士で常々話していました。PTA活動全般については、一部の保護者に負担が偏っているように見てとれ、『なるべく多くの保護者に少しずつでも関わってもらいたい』という思いがありました」

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