社会起業家の育成で見えた「課題解決人材」3特徴 ボーダレス・ジャパン共同創業者「失敗が重要」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
たくさんの社会起業家を生み出してきた鈴木氏

多くの社会起業家を生み出し、支援してきた鈴木氏。社会起業家として成功するために必要な資質や条件については、次のように語る。

「社会起業家になると難題にぶち当たり続けるので、つねに『じゃあ、次はどうしよう』とアクションに落とし込んで前進していくマインドが必要。また、どんな社会をつくりたいのか、解像度の高い未来像を自分の中で描き出す想像力や構想力も大事です。そしてもう1つ、助け合える仲間をつくることも重要で、そのためには共有する未来像を伝えるストーリーテーリングの力もすごく大切です」

「共に学び、待つ」スタンスで“失敗の芽”を潰さないこと

新学習指導要領でも「持続可能な社会の創り手」の育成が掲げられており、鈴木氏が語るような課題解決型人材の育成は学校教育でも参考になるのではないだろうか。鈴木氏も、教育現場に期待をかける。

鈴木雅剛(すずき・まさよし)
ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長
1979年山口県出身。2007年、貧困、差別・偏見、環境問題など社会問題の解決を目的とする「ソーシャルビジネス」しかやらない会社として、ボーダレス・ジャパンを同社代表取締役社長の田口一成氏と共同創業。国内外を問わず社会起業家を生み出し、互いの資金・人材・事業ノウハウを共有することで、社会インパクトの最速・最大化を目指す「社会起業家のプラットフォーム」を創出。この仕組みで現在、世界16カ国で42の事業を展開

「学校でも失敗させることが大事だと思います。一度うまくいかなかったとしてもみんなで助け合いながら再度チャレンジし、『最後は仲間と形にできた』という成功体験のサイクルを回せる環境が学校教育にも必要ではないでしょうか。探究型学習が導入され始めたのでそういう雰囲気になりつつあるとは思いますが、先生が『共に学び、待つ』スタンスになれると、子どもたちもより伸びやすくなると考えています」

鈴木氏自身、よかれと思って「こうしなさい」と言っていたら、上下関係ができて社会起業家たちが自分で考えなくなってしまった経験がある。それに気づいて以来、頼られたときも「私の意見はこうだけど」というアドバイスにとどめ、「つかず離れずの放置」を基本にしているという。

「親のようにやさしい先生ほど、失敗する前に手を打ちたくなると思いますが、それでは子どもは成長しません。大事なのは“失敗の芽”を潰さないこと。大人は知識やネットワークを持っており、子どもたちは大人にない発想や勢いがある。1人ひとりの人間というフラットな関係性の中で、先生たちが『子どもたちと共に助け合い、前進していこう』という感覚を持てるかどうか。それが、今後の教育において重要になってくるのではないかと思います」

(文:國貞文隆、写真はすべてボーダレス・ジャパン提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事