超進学校の高3「東大蹴って、海外大」の深い理由 開成・元校長の柳沢幸雄が語る「日米教育比較」

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戦後、日本の教育制度を変えるときも、GHQはリベラルアーツカレッジの仕組みを導入しました。その結果、大学に教養課程ができた。しかし今それが組織として残っているのは、ほぼ東大だけなのです。私は、自分の専攻分野である化学工学の魅力を教養学部で教わりました。今、リベラルアーツを学びたい日本の高校生がいるのなら、東大か、米国のリベラルアーツカレッジに行くことを勧めています。

――ちなみに東大教養学部の前身である旧制第一高等学校を始め、日本にもかつては国立のナンバースクールや、公私立の旧制高校でリベラルアーツを教える仕組みがありました。そこから多くの優秀な人材が輩出したといわれています。

旧制高校がよかったのは、学生の個性を尊重したことでした。例えば現在、東大への高い進学率を目指す学校は受験生や保護者には魅力的に映るかもしれません。しかし、それは実際には東大に合格するためのロボットをつくっているにすぎないのです。教育の本質は、ロボットをつくることではなく、それぞれの子どもが持っている素質をどうやって引き出すかにあります。“型にはめる”のではなく、“引き出す”ことが重要なのです。米国の教育はそれができている。だから、米国では世の中を変えるような、傑出した人物が生まれるのです。

次回に続く。

柳沢 幸雄(やなぎさわ・ゆきお)
東京大学名誉教授。北鎌倉女子学園学園長。1947年生まれ。東京大学工学部化学工学科卒業。民間企業に勤務後、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、同大併任教授、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年より開成中学校・高等学校校長を9年間務めた。2020年4月より現職。著書に『後伸びする子」に育つ親の習慣』(青春出版社)『ハーバード・東大・開成で教えてわかった 「頭のいい子」の親がしている60のこと』などがある
(写真:柳沢氏提供)

(文:國貞文隆、注記のない写真はpearlinheart /PIXTA)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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