高校で来年始まる「総合的な探究の時間」って何? 元祖・堀川高校の事例に見る探究活動の実際

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1年後期の「STEP」では、10人程度ずつ、ゼミに分かれて活動する。ゼミは言語・文学、国際文化、人文社会、情報科学、スポーツ・生活科学、物理、化学、生物学、地学、数学の各分野が設けられ、各教科の教師が担当する。そこで、課題解決に向けた戦術を立てる能力や、関心のある分野の課題解決に必要な知識技能を習得。2年時の個人探究活動の課題を設定する。

イントロダクションである「探究DIVE」に始まり、1年前期を「HOP」、1年後期を「STEP」、2年前期を「JUMP」として1年半をかけて探究基礎を学び、最後には発表会も行う。

そして2年前期の「JUMP」では、ゼミを続けながら、先行研究の調査、実験などの研究活動を行う。中間発表を経て夏休み明けの9月には、保護者や外部の人も招いてポスター発表を開催。そこでの質疑応答の結果を踏まえ、論文を執筆する。コロナの渦中だった今年度はビデオ会議システムを使って発表を行った。

オンラインによる探究基礎研究発表会の様子

堀川高校の探究の特徴は、生徒主体で運営されることだ。探究DIVEも、事前に入学者説明会で募ったスタッフの生徒らで運営。1年前期の授業は、教員だけでなく、生徒から選出された探究基礎委員会のスタッフも授業を行う。紀平氏は生徒が授業で使ったスライドを紹介。洞窟を背景にした気球の写真を示し、「どこの画像か?」と問いかける内容で、「授業で学んだ検索のやり方を実際に活用することが狙い。生徒たちは工夫を凝らしてくれる」と話す。探究の目的はコンテストで賞を取るなどの成果を出すことではなく、手法を身に付けることにある。だから、1人ひとりが探究活動を一通り自分でやりきることもポイントだ。

「生徒に任せながらも、教師がいつ、どのように生徒に関わって、きっかけを示すか、が考えどころだ。20年に及ぶ探究活動の蓄積がある堀川高校では、過去の資料を参考にすれば、授業はできる。しかし、われわれ教師がルーチンワークにしてしまったら、探究にはならない」と、教師も“探究”することが必要と強調する。だから指導は外部の大学教員を招いたりせず、基本的に堀川高校の教員だけで行う。「探究を通して生徒の興味関心がわかるので進路指導などにも役立つ。生徒には将来、何をしたいかを考えることにつなげてほしいと願っている」と力を込めて紀平氏は語った。

(文:新木洋光、注記のない写真:堀川高等学校提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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