部活や授業「eスポーツ」取り入れる学校増える訳 論理的思考、問題解決力、コミュ力育つは本当か

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日本でもeスポーツを学習のツールや部活動に活用し始める学校が増えている。通信制のクラーク記念国際高等学校にはeスポーツ専攻もある
(写真:クラーク記念国際高等学校提供)

ただ、eスポーツでゲームといえば、どうしても気になってくるのが保護者の反応だ。子どもがゲームをやることに対して、ポジティブに考える保護者は少ない。

しかし、NASEFでは、保護者の懸念を払拭するためにも、eスポーツと次世代科学、英語教育、社会的感情学習などとの関連性を深めるカリキュラムを開発。むしろ科学、技術、工学、芸術、数学を重視するSTEAM教育につなげていくことで、eスポーツにおけるゲームの概念を変えようというチャレンジを行っている。

「ほかにも私たちはガイドラインを設けるなどeスポーツにおける行動規範も作成しています。私たちは、生徒、先生、保護者がeスポーツの学習の価値を体験できるように互いを結び付け、すべての生徒がeスポーツを通じて、将来的に仕事や生活面がうまくいくために必要なコミュニケーション能力、リーダーシップ、献身や忍耐、協調性や相互理解、そして問題を解決するスキルを身に付けてほしいと考えているのです」

eスポーツには学習面のほかにも、ビジネスとしてさまざまな要素が含まれるからだ。実際eスポーツからは、ストラテジスト、主催者、コンテンツクリエーター、起業家といった職業が派生するという。eスポーツのエコシステムを確立させるためにも、こうした役割を担う次世代の人材を同時に育成していきたい。大会の運営を高校生が担うことになれば、コミュニケーションやマーケティングを学ぶ機会にもなる。

今後、NASEF JAPANは生徒、教職員、保護者の3者を対象に据えて活動を行っていく方針だ。生徒向けには、コンテンツ企画制作のコンテスト大会となる「eスポーツクリエイティブチャレンジ」を開催するなどゲーム大会以外にも活動の場を広げ、教職員向けには「eスポーツ国際教育サミット」などイベント交流会を開いていく。また保護者向けには、研究機関と調査したエビデンスを結果報告として情報発信していくという。

「NASEF JAPANでは、eスポーツを通じて、生徒、先生、保護者の皆さんに、グローバルな視点での考え方や情報に触れ、すべての生徒がよりよい人生を送るために必要なコミュニケーション、協働作業、問題解決のスキルを習得できる機会を得てほしいと考えています。私たちは、eスポーツと教育を融合させた新しい教育の可能性を、先生や生徒の皆さんと分かち合えることを目指してこれからも活動を進めていきたいと思っています」

大人は、パソコンを使った教育や動画を使った勉強など、自分が子どもの頃にはなかったテクノロジーに子どもが強く引きつけられることに懸念を抱く。そういった理解が得られにくいものの中でも、ゲームの歴史はとくに長い。だが、eスポーツという新しい産業が生まれ、ゲームに対するイメージも変わる中、大人も新しい研究や情報をキャッチアップしておく必要はありそうだ。

(文:國貞文隆、注記のない写真:すべてNASEF JAPAN提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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