目黒区「40分授業午前5時間制」20年で見えた成果 授業時数確保に加え学習面や働き方にも変化
毎週月曜日に校庭に集合して行っていた、全校朝礼も廃止。移動時間を省くため火曜日の朝に放送やICTを活用したオンラインライブで行うことで、スムーズに1校時目が始められるようになった。この工夫により、月曜日の朝には、1週間の行動予定を各児童が計画する「マイプラン」という新しい活動も始めることができたという。
ICTによる効率化で「学ぶ時間」を確保
同区では今、区立小学校15校が文部科学省の研究開発学校(2019年度~23年度)に指定されており、「40分授業午前5時間制」をテーマに創意工夫ある教育課程や指導方法、適切な授業時数のあり方などについて研究開発を行っている。
中目黒小も研究開発学校の1つであり、今年度からは「単元内自由進度学習」に取り組み始めた。授業の始めに教員が学びの手引きを提示し、子どもが自分で学びの計画を立て、自分のペースで学習を進めていく学習法だ。1人はもちろん、ペアやグループを組んでもよい。
生活科や社会科の授業で取り入れているが、すでに子どもが意欲的に学べるようになってきているという。「教員も『なぜ今までこれをやらなかったのだろう』なんて言っており、すごく反応がいい」と、横溝氏は手応えを感じている。

(写真:目黒区立中目黒小学校提供)
同区では昨年度から子どもたちにiPadを配り、授業ではGoogleの「Classroom」を使用しているが、横溝氏はその有効性も実感している。例えば、これまで物語を読んで感想を書く国語の授業では、教員がノートを集めて児童の感想を転記してプリントを作り、次の授業で配付して話し合っていた。しかしタブレットを通じてクラウド上に記入することで、全員の感想をその場で見ながら話し合うことが可能となった。
また、児童がタブレットを持ち帰って自宅で調べものをすることで、翌日の授業では発表するところからスタートできるように。おかげで、40分と短い授業時間の中でも話し合いの時間をたっぷり確保できるようになったという。「ICTは時間短縮にすごく有効です。教員の作業も軽減され、働き方改革にもつながると感じています」と横溝氏は言う。
研究開発学校15校による「40分授業午前5時間制」の詳細な成果は、23年度の研究発表会で示される予定だ。「その際、児童の学びや授業の質の向上、教員の働き方の有効性について、ぜひ広く伝えたい。それを踏まえて区内の22の小学校すべてに、40分授業午前5時間制を拡大できればと考えています」と、竹花氏は語る。
(注記のない写真はiStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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