新潟市1人1台端末「毎日いつでも」定着の仕掛け 子どもも先生も誰一人取り残さない支援の裏側

新潟市167校から各校1人ずつ参加する「GIGA推進リーダー会」のチャット。学校現場での困り事などを投げかけると、ほぼリアルタイムでメンバーから回答がくるという。課題解決のスピードが上がり、GIGAサポートデスクへの問い合わせ電話が激減した
「寄り添い型」で、やらされ感なく定着させる
目標としていた「日常化」が大きく前進し、現場を支える取り組みも生産的になっているという新潟市が今見据えているのは、GIGA元年以降の動きだ。出足は好調なものの、いずれGIGA推進の学校間格差や、先生たちの取り組みの姿勢に対する差が生じるとみている。だが、あくまで「新潟市は寄り添い型」と片山氏は話す。
「『夏休みまでに端末を家庭に持ち帰れるようにしよう』など、市教委は目標の時期を示しますが、実施するスピードは学校ごとに合ったものがあります。学校のマネジメントを信頼して、緩やかながら確実に徹底させる。この現場との信頼関係は新潟市の自慢で、今後も継続的な支援を行いながら、やらされ感なく定着させたいと考えています」
「ここで端末を使いなさい」ではなく、子どもも先生も、毎日いつでも必要なときに自然とICTを使うことができる教室、学校を目指していくということだろう。また新潟市では現在、「教育の情報化ビジョン」を策定中で、その中ではすでに5年後の端末入れ替えも検討課題に入っているという。
「今回のように国・自治体の予算のついた貸与式になるのか、保護者の皆様にご負担いただくBYOD(Bring your own device)になるのか、まだ詳細は決定していません。しかし、どちらになっても、新潟市GIGAスクール構想の基本設計がご家庭に受け入れられ、今後も継続してほしいと望まれるようになるには、やはり『日常化』を推進していくことが不可欠です。さらに授業の実績効果を定量的に分析・検証することも必要で、こうした私たちの創意工夫と努力が予算要求と絡み合いながら、新潟市のアフターGIGAの行方を決めていくと考えています」
すでにデジタル教科書の検証や、コンテンツの増大に伴うネットワーク環境の増強、教職員の校務支援システムとの連携、将来的な学力テストのCBT化に向けた準備など、次々と検討課題を俎上に載せている。GIGAスクール元年という世間の喧噪をよそに、新潟市のGIGAスクール構想はもう次のステージを見据えている。
(写真はすべて新潟市提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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