新潟市1人1台端末「毎日いつでも」定着の仕掛け 子どもも先生も誰一人取り残さない支援の裏側

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この使い勝手がよく充実した質の高いコンテンツが評判を呼び、今では新潟市の教職員はもちろん、ほかの自治体の教職員、学校関係者のアクセスも非常に多く、建設的な意見をもらうことさえあるという。

「『GIGAサポートWEB』は、フルオープンアクセスにしています。おそらく同種の端末を導入している自治体が欲しいと思うであろう情報をどんどん公開しています。お互いにギブ・アンド・テイクの精神で、ほかの自治体のよい情報があれば、私たちにもシェアしていただきたい。実際、『GIGAサポートWEB』の各種マニュアルの中に『家庭でのWi-Fi接続設定簡易マニュアル』という項目を追加しましたが、これは今後家庭への端末持ち帰りが本格化すると、家庭でネット環境設定に困ることがあると思うので作ったらどうかという声を反映したものです。各端末にショートカットを作ったり、メールマガジンで更新情報を送るなどプッシュ型の施策も検討したりしています」

さまざまな工夫を経て、新潟市でのGIGAスクール構想の日常化は確かな成果を上げている。例えば、「ロイロノート・スクール」の21年7月の平日アクセス件数は平均で約2.7万人。新潟市の6万人の児童生徒のうち、かなりの数が毎日のように端末のスイッチを入れてアプリを活用しているということだ。

「4月の平日アクセス件数は約1.1万人でしたから、わずか3カ月で倍増しています。私たちがいちばんやりたかった先生、児童生徒の『日常化』は、相当進んでいると思います」と片山氏は手応えを実感している。

3年生の国語「学校の自慢を伝えよう」では、それぞれが学校の自慢を「ロイロノート・スクール」を使ってカードに書き込み、友だちと話し合ってプレゼンテーションのスライドを作成した
こうして作ったスライドを大型テレビに映しながらプレゼンテーションを行った。「もっと学校の自慢をたくさん考えたい」「プレゼンテーションを作り込みたい」という子どもが、家庭に持ち帰って授業の続きに自由に取り組めるよう新潟市では家庭への端末の持ち帰りも進めていく

もう1つ、「GIGAサポートWEB」と並んで、教職員の端末活用の日常化を後押ししているものがある。それが「GIGA推進リーダー会」だ。新潟市167校から各校1人ずつ参加してもらい、主にコミュニケーションアプリのチャット機能を使って情報交流を行う仕組みだ。

「学校現場での困り事について誰かが質問すると、その問題に詳しい人や指導主事の回答がほぼリアルタイムで入り、即解決するケースが多くなっています。また、現在の取り組みでうまくいっていることを紹介すると、すぐにコメントが投稿され、そこからどんどん議論が深まっていきます。従来だと、このような機会は月イチの定例会で行われていたのですが、『GIGA推進リーダー会』が20年5月下旬に立ち上がってからは、課題解決のスピードが急速に上がりました。おかげでGIGAサポートデスクへの問い合わせ電話が激減したという副次的効果が出ています」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事