共通テスト「情報」に現実味「受験対策」企業が先手 情報教員不足の一方、サンプル問題公開など着々

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大学入試センターは2021年3月、25年の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)から「情報」を新教科として加える方針を公表した。長らく検討されてきた共通テストへの「情報」の追加がいよいよ現実味を帯びてきたわけだが、このほど英語の民間試験活用と記述式問題の導入は断念の見通しが示された。それだけに文部科学省における関係者協議の最終決定が待たれるところだ。だが、すでにサンプル問題も公開されており、企業の中には早くも「情報」の受験対策コースを新設する動きも出始めている。

新学習指導要領に合わせて、25年から大きく変わる共通テスト

今年1月、大学入試センター試験に代わる共通テストが初めて実施された。受験者数は48万4114人、昨年に比べ4万2958人減と、50万人を切ったのは1994年の大学入試センター試験以来となった。新入試への切り替え初年度で、浪人生が大幅に減ったこと、またコロナ禍の影響が少なからずあったとみられる。また出題内容が思考力・判断力・表現力を評価できるように見直され、全科目でグラフ、表、地図など資料を読み取る問題が増えるなどの変化も見られた。

今年1月の共通テストの受験者数は48万4114人、50万人を切ったのは1994年の大学入試センター試験以来となった

今後、共通テストは、現在の中学校3年生が高校3年生になったときに受験する2025年からまた大きく変わる。22年度から高校で始まる新学習指導要領に合わせて、出題教科や科目が変更されるからだ。共通テストを主催する大学入試センターは3月、25年から共通テストに「情報」を新教科として加える方針を公表。6教科30科目から7教科21科目へのスリム化も盛り込まれ、文科省において高等学校および大学関係者等との協議を経て最終決定を下すという。

必履修化で国が情報科の指導体制強化をプッシュ

中でも大きな変化といえるのが、やはり新教科「情報」の追加だろう。

現在、高校で行われている情報科は「社会と情報」と「情報の科学」のいずれかを選ぶ選択必履修科目だ。しかし、Society5.0とも呼ばれる新たな時代が訪れ、大きく変化する社会の中で生きていくために、情報活用能力の習得は不可欠になっている。そこで22年度より実施される新学習指導要領では、共通必履修科目の「情報Ⅰ」と、発展的選択科目の「情報Ⅱ」に再編される。

文系理系を問わず、すべての高校生が学ぶこととなる「情報Ⅰ」では、プログラミングやネットワーク、データベースの基礎といった基本的な情報技術を学ぶとともに、情報モラルなども併せて身に付けることを目指すという。

だが今、その大前提として、情報科を教える教員が不足しているという問題点が指摘されている。

文科省「高等学校情報科担当教員に関する現状及び文部科学省の今後の取組(令和3年3月31日更新)」によれば、情報科を担当する教員5072人のうち約75%に当たる3839人が情報免許状を保有しているものの、256人が臨時免許状、977人が免許外教科担任の許可を受けて情報を教えていることがわかった。また同時に、情報の免許状を保有しているにもかかわらず情報科を担当していない教員が6064人いることも明らかになった。実際、長野県、栃木県を除くすべての都道府県・指定都市において、情報免許状保有教員数が臨時免許状・免許外教科担任数を上回っていた。

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