共通テスト「情報」に現実味「受験対策」企業が先手 情報教員不足の一方、サンプル問題公開など着々
実際、大学入試センターが作成したサンプル問題を見てみると、3つの大問で構成されている。大問1は情報技術の仕組みや情報倫理、大問2はプログラミング、大問3はデータ分析・活用だが、キラメックスの情報対策コースはプログラミング中心の学習内容になるという。
「大問1は実際にソフトやアプリケーションを動かした経験がないととっつきにくい問題で、大問3は数学の知識が必要になるため中学生にはやや難解です。対して大問2は、小学生の頃から授業で行われているプログラミングなのでなじみやすい。そこで、プログラミングからスタートして、大問1と3へ知識を広げていくと理解しやすいだろうと考えました。このほかにも、検定教科書のベースとなる高等学校情報科『情報Ⅰ』教員研修用教材や、慶応大学をはじめ他大学の過去10年分の入試問題を参照して、バランスよく『情報』を学べる内容に仕上げました」
こう話すのは、「テックアカデミージュニア」カリキュラムディレクターの平賀正樹氏だ。すでに対策コースのプロトタイプを作り、大手進学塾などからフィードバックをもらいながら、アップデートしているという。加藤氏は「塾側にとって、情報対策コースを新設することは、1つのアピールポイントにもなります。われわれがいち早く対策コースの学習システム開発を行ったことで、塾側も今後のプロモーションを検討しやすくなるのではないかと考えます」と話す。
加藤氏によれば、子どもを対象とするプログラミング教育の市場規模は200億〜300億円、1000億円以上といわれる語学教育市場の4分の1〜3分の1程度だという。共通テストに「情報」が追加されれば、市場拡大の起爆剤になる可能性は大きい。“受験科目になること”のインパクトは大きいということだろう。
だが、「情報」で学ぶ知識や技術は、これからの子どもたちが社会で生きていくのにまさに必須のスキルだ。全員が「情報Ⅰ」を学ぶことをきっかけに、多くの子どもたちが情報技術に興味を持ち、その興味を受験を通じて深め次の学びへとつなげ、社会で活躍することこそが本来の目指すべきところだ。
(写真:iStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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