共通テスト「情報」に現実味「受験対策」企業が先手 情報教員不足の一方、サンプル問題公開など着々

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そこで文科省では、臨時免許状・免許外教科担任数の縮小に向け情報科教員の計画的な採用を促すとともに、現在情報科を担当していない情報免許状保有教員の活用、遠隔授業を含む複数校の兼務などによる配置の工夫を行うよう働きかけを行っている。また教員向け研修用教材等を活用して情報科担当教員の指導力向上に取り組むことを求めている。

文科省が新学習指導要領の円滑な実施に向けて、情報科の指導体制の強化・充実に積極的な姿勢を示す中、共通テストへの「情報」追加も、いよいよ現実味を帯びてきている。

すでに大学入試センターは、「情報Ⅰ」を出題範囲とするサンプル問題を公開。情報処理学会も、20年11月に大学入試センターから提供された「平成30年告示高等学校学習指導要領に対応した大学入学共通テストの『情報』の試作問題(検討用イメージ)」を公表している。さらに、こうした時流を先取りした「受験対策コース」を展開する企業が早くも出始めている。

プログラミングを中心に学ぶ「情報」受験対策コースが登場

小・中・高生を対象としたプログラミング教室「テックアカデミージュニア」を全国に展開するキラメックスは、新たに「大学入学共通テスト情報対策コース」の学習システムを開発。今夏をメドに学習塾などの教育事業者向けに提供を開始するという。コースの対象となるのは中学校1年生〜高校3年生で、学習時間は合計70時間程度、受講形態はパソコンもしくはタブレットを用いた自学自習スタイルを予定している。

「テックアカデミージュニア」のマネージャーを務める加藤雅英氏は「共通テストで『情報』が採用されれば、プログラミング教育市場が広がるポイントになる」と同コースを開発した背景について話す。

これまで情報入試の実施は、慶応大学など一部の大学に限られていたため、対策コースを設ける進学塾や予備校はほとんどなかった。受験に関係のない科目は、受験生はもとより保護者のニーズもなかったからで、共通テストに「情報」が加わることになれば潮目が大きく変わるというわけだ。

だが、大手塾は「プログラミングをはじめ情報科を教えるための人員が不足しており、また共通テストへの情報の追加が正式決定されていない現段階で対策コースの準備を進める判断がつかないところが多い」(加藤氏)という。このほど英語の民間試験活用と記述式問題の導入を断念する見通しが示されるなどの事情を踏まえると、確かに躊躇するのも無理はない。それでもキラメックスが、リスクを承知のうえで情報対策コースをリリースする理由はどこにあるのか。

「早めに動いてモデルケースをつくりたいというのはもちろん、本来プログラミングなどの知識・技術は、これからの社会において不可欠なリテラシーです。アプリケーションやゲームなど1つのプロダクトを自分の手で作り上げる成功体験も含め、しっかりと身近な問題や社会課題を解決できる情報活用能力を身に付け、将来において自己実現の選択肢を広げられるコースを提供したいと考えています」(加藤氏)

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