なぜ東大生は「前学年の教科書を捨てない」のか 新年度、勉強で挫折しないためにするべきこと

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
高校3年生の時、偏差値が35だった西岡壱誠さん。浪人時代に「思考法」「読書術」「作文術」というオリジナルの勉強法を開発し、見事、東京大学(以下、東大)文科二類に合格を果たした。 現在は、現役東大生ながら、著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』(いずれも東洋経済新報社)は、シリーズ累計38万部のベストセラーという、人気作家に。放映中の人気ドラマ「ドラゴン桜」の脚本監修も務める西岡さんが、新年度に勉強でつまずかないためのコツを教えてくれた。

毎年、授業の「スピード」は速くなる

新年度が始まってほぼ1ヵ月、皆様いかがお過ごしでしょうか? 西岡壱誠です。今回は、どうすれば新年度の始まりに勉強でつまずかず、1年間楽しく学んでいけるのかについて、僕なりの考えをお話しさせていただきたいと思います!

新年度。期待に胸膨らませて始まる学校生活……のはずですよね。ただ、ここでつまずいてしまう人が、意外に多いのも事実です。華々しい雰囲気がある一方で「5月病」といわれるように、新生活になじめず引きこもってしまうこともあります。せっかくの新生活、今日はそのような事態を避けるための心構えと、新しい勉強につまずいてしまったときの対処法を皆さんと共有できればと思います。

まず学生の皆さんに質問です。学生が進級したときに、勉強でつまずくポイントは何だと思いますか?

答えは「スピード」です。

基本的にどの学年においても、中1よりも中2、中2よりも中3、高1よりも高2といったように、学年が上がるほど授業の進度は速くなります。なぜならすべての科目は積み上げ型の勉強で、前学年の勉強を基礎として今年度、それを応用した勉強+新しい基礎を学んでいくからです。

例えば、数学などはそれが顕著ですよね。前学年の内容を理解しないまま、新しい概念を勉強することは難しいでしょう。また、基礎の勉強はゆっくりと進んでいくのに対し、応用段階に入ると、すでに基礎が入っている前提で進むため、より進度が速く感じることもあります。皆さんは先生が、こうやって話すのを聞いたことはありませんか?

「これは、中1の時にやりましたよね? だからここの説明は省きます」

この言葉は、学年が上がるにつれて増えていき、勉強のスピードはどんどん早くなっていきます。だから一度つまずくと、勉強についていけなくなり、苦手意識を持ってしまう。最終的に勉強が嫌いになる。ということが起こりえます。そうならないために、ぜひ皆さんにやってほしいことは、新学期に、これから学ぶ教科書をペラペラとめくってみることです。しっかりと読み込む必要はありません。とにかく見る。ぱらぱら流し読みをして、「ふーん、こんなことやるんだなぁ」と頭に入れておいてください。

もちろん、ほとんどの内容はわからないはずです。それでいいのです。ただ、「ああ、この話、去年出てきたな」と必ず前の学年に重なる話が入っています。そのときに「これ、ちゃんと覚えられているかなあ?」と復習してみてください。いったん振り返って復習し、自分のものになっているか確認したうえで、新しい知識を入れることに備えてみてほしい。これだけで、新しい勉強をするときに、理解がまったく異なってきます。

前学年の教科書と、現学年の教科書を並べて勉強する

これまで学生を見てきて感じるのは、今勉強している内容でつまずいたとき、いつまでもその部分を理解しようと頑張ってしまう学生が多いということです。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事