なぜ東大生は「前学年の教科書を捨てない」のか 新年度、勉強で挫折しないためにするべきこと

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勉強でつまずいた時、するべきことは前に戻ることです。例えば高2であれば、高2の今習っている勉強ではなく、高1あるいはそれ以前の勉強に戻ることが理解への近道です。なぜなら高2の勉強は、高1までの勉強で成り立っているからなんですね。だから、高2の勉強と向き合っているだけでは、うまくいかないまま「授業についていけない!」という事態になってしまいがちです。本人はもちろん、先生も親御さんも、ぜひここをバックアップしてあげてください。

例えば先生であれば、「これは、中1の時にやりましたよね? だからここの説明は省きます」と言うのではなく「これ、中1の参考書のここの部分だよ!」と具体的に指し示してあげたり「中1の教科書の何ページ、この問題を復習して!」と言って、問題をコピーし、渡すぐらいのことをしてあげてもよいかもしれません。

一方、親御さんにもできることがあります。お子さんの学年が上がったら、前学年の教科書や参考書をしまい込んだり「捨てちゃおう」と言ってしまっていませんか? それが勉強でつまずく大きな落とし穴といっても過言ではありません。実際僕もそこで失敗して、ずっと学年ビリという状態になっていたのでよくわかります。

ぜひ親御さんは「これも使うことあるんじゃない?」というふうに、前学年の教科書を、今年の教科書と一緒に並べてあげてください。それだけで、いろいろなことが変わってくるはずです。

わからないことを「わからないと言える」雰囲気づくり

もう1つ、先生や親御さんに心がけてほしいことは、「生徒がアラートを出せる状態をつくる」ことです。1年間勉強していく中で、ひとつもつまずかず、スムーズに学習していく子はいません。必ず、わからないところや解けない問題、できないことが絶対に出てきます。

そんなときに、「ここがわからないです」と誰かに助けを求められるようにしてあげることはいちばん重要です。大人が考えているより「わからない」「できない」と言えない子どもは多いです。理由は単純で、恥ずかしいからなんですね。少し話が脱線しますが、日本にはまだまだアウトプットや自分の主張をすることが恥ずかしい、という雰囲気があるように思います。

日本語では「授業を受ける」と言いますが、英語圏では「take a class(授業を取る)」と表現します。授業というのは受け身で「受ける」ものではなく、能動的に「取る」ものであるという解釈をしているためです。僕も、講演会や会議のとき「何か質問はありますか?」と聞いても、誰も何も言わないという場面に遭遇することは多々あります。米国では、授業中は活発に質問する生徒が多いですし、社会に出てからも発言しなければ、やる気がないのではと思われ、評価が下がってしまうそうです。

もっと皆さん、たくさん質問をしましょう。わからないことは、どんどんわからないと言う。能動的に勉強して、質問をどんどんする方が断然成績は上がります。ちなみに、東大生は授業中に、非常に多くの質問をしますね。初めて東大で授業を受けたとき「こんなに頭がいい東大生なのに、わからないところがあって、質問をするのか」とびっくりしたのを覚えています。

そのとき、かつて偏差値35だった僕は高校時代の自分を思い浮かべ「そういえば、僕は成績が悪かったとき、先生に質問に行ったりしなかったな……」と思いました。ということで、「質問していい文化」をつくってあげることは、とても重要です。

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