教職課程見直し「ICT活用指導力」は上がるのか 現場も改革急務!今も「ガラケー」愛用者が…
ちなみに大学教育の現場にも、ICT教育に力を入れてこなかった影響が及んでいる。今も多くの文系学部では新入生のパソコンスキルが低く、ワード、エクセル、パワーポイントの使い方から指導しなければならない状況にあるという。スマホは持っているものの、パソコンを所有していない学生も多い。
「本学では入学時に学生にノートPCを購入させていますが、それができていない大学も多い。保護者負担が大きいという問題があるようですが、私が学生だった20年前から状況がほぼ変わっていないのは驚きです。しかし、コロナ禍によってGIGAスクール構想が前倒しとなり、大学ではオンライン授業が増えました。これを機に、教育現場の意識改革が進むことを期待しています」
コロナ禍を経験した初任者を活かしてほしい
信州大学では、各教科の専任教員が日頃からICT教育を行ってきたこともあり、コロナ禍でもZoomを使ったオンライン授業にスムーズに移行できたという。佐藤氏も、20年度は自身が受け持つ「現代教育コース」において新たな取り組みを行った。

「前期は全授業がオンラインになったこともあり、オンライン授業での指導法や教材作りなどに関する研究を徹底的に学生に取り組んでいただきました。後期はGIGAスクール構想を踏まえた授業ができるようになることを目指し、オンラインと対面を生かしたハイブリッドな学びを意識した授業を行いました」
このほか、授業外の活動になるが、GoogleやAppleなどのIT系スキルの認定資格取得も学生に推奨しているという。勉強になるのはもちろん、教員採用試験でこうした資格が加点されるという議論も出始めているからだ。こうした大きな環境変化の中で奮闘する学生を見守ってきた佐藤氏は、こう願っている。
「コロナ禍に入学した教職課程の学生がこれまでの学生と大きく違うのは、オンラインとクラウドを駆使した授業を経験している点。現場の先生方には、そんな彼らの長所をうまく生かしながら、GIGAスクール構想を一緒に乗り越えていってほしいと思っています」
(写真はすべて佐藤和紀氏提供)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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