偏差値教育で「自信失った子」伸ばす学校の素顔 民間出身校長が仕掛ける札幌新陽高校の大変貌

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「それは本気で挑戦する覚悟です。これからの社会で生きていくために重要なのは、挑戦し続けること。本校が目指すのは『本気で挑戦する人の母校』になること。一人ひとりの学びたいことを応援したいのです」

しかし、従来のペーパーテストと違う入試に、戸惑う生徒は多いはず。そこで同校ではミライ塾と名付けた入試対策塾を開催。メールで送られてくるワークに取り組み、教員からのフィードバックを受ける。結果は入試には反映されないが、おのずと入試対策になるという。さらに、セミナーやオープンスクールの参加状況や課題の質によってパスポートを申請する「新陽パスポート制度」を導入。パスポートが認定されると、入試が面接のみになる。長い時間をかけて教育方針を理解してもらえればミスマッチが防げるうえ、入学後のスムーズな学びにつながるはずだ。

「自発的に挑戦する生徒を育てるには、大人がそうなることが大切です。中には自分の思いをうまく表現できない生徒もいますが、僕らが思っている以上に生徒は『大人が本気で挑戦しているか』を見ています。だから、僕は先生たちに『挑戦したらいいよ』としか言っていないんです」

かつては定員割れで経営困難に陥っていた札幌新陽高校。19年度は創立以来初めての北海道大学を含めた大学・短大に147名が進学し、20年度には米アリゾナ州立大学、コロラド州立大学に合格する生徒も現れた。進学という道に限らず、生徒のさまざまな可能性を引き出している。変化を続ける同校の今後に引き続き注目したい。

荒井 優(あらい・ゆたか)
札幌新陽高等学校 学校長
1975年生まれ。札幌市立三角山小学校卒業後、神奈川県横浜市で育つ。94年早稲田大学政治経済学部経済学科入学。卒業後リクルートを経てソフトバンクへ。社長室に配属となりグループ企業でSBプレイヤーズ、エデュアス、さとふるの取締役を歴任。公益財団法人東日本大震災復興支援財団の専務理事を兼務、孫正義社長が行う復興支援活動の責任者を経て2016年2月より現職。学校再建の経営手腕を見込まれて、佐賀県の進学校である東明館中学校・高等学校の理事長も19年7月より務める

(写真はすべて札幌新陽高校提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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