京大現役合格を急増させた堀川高校「探究」の今 最高目標「自立する18歳」、BYODもスタート

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3年生の補習ではZoomで動画配信や質問の受け付けなどもしている。しかし、「ICTが目的になることはない」と飯澤氏は強調する。同校の最高目標は「自立する18歳」の育成だ。あくまで、自分で目標を立ててPDCAを回せる生徒を育てるために、ICTを活用する方針だという。例えば、AI型教材の導入は考えていない。自分の弱点を指摘してくれる仕組みはありがたいが、これを使うと問題解決をAIに任せることになってしまうからだ。

「点数を上げるためではなく、点数を上げるために何に取り組んだのかを自分で振り返り評価することが大切。その補助として、ICTを使いたい。そのあたりを、Moodleによるオンラインテストで実現できないかなと模索しています」

授業もBYOD導入だけをきっかけに変える必要があるとは思っていない。「むしろ、われわれが想像もしないような端末の使い方を、生徒が考えてくれるのではと期待しています」と、飯澤氏は笑う。

20年度の「探究道場」第1回目は初のオンライン開催となり、約80人の中学生が参加。運営担当の生徒たちは、準備だけでなく当日のファシリテーター役も務めた

同校は生徒主体で、中学生に探究を体験してもらう「探究道場」という活動を毎年行っており、20年度はコロナ禍の影響で初のオンライン開催となったが、生徒たちはZoomの使用にも柔軟に対応した。準備も、Googleドライブで資料を共有しながら進めていたという。「彼らはクラウド活用も勝手にやっているわけです。教員がコントロールしないことも大事かなと思っています」と、飯澤氏は言う。

一方、ICTを活用してぜひやりたいのは、同校のサーバーの中にアーカイブを作ることだという。現在、提出された論文は後輩が見られるよう図書室に保管しているが、「そういった先輩のノートや資料、研究の解説動画などが見られるような場をネット上につくれたら」と、飯澤氏は話す。

ICTの活用にも、探究の観点が息づいている同校。今後、どのような探究とICTの相乗効果が生まれるのか楽しみだ。

(文:編集チーム 佐藤ちひろ、写真はすべて京都市立堀川高等学校提供)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

東洋経済education × ICT

小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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