京大現役合格を急増させた堀川高校「探究」の今 最高目標「自立する18歳」、BYODもスタート

京都市立堀川高等学校教頭。京都大学大学院人間・環境学科研究科に在籍していた2002年から同校の常勤講師として勤務。15年度までSSH研究開発指定に関する企画・運営ならびに「探究基礎」の授業計画策定や探究活動の指導を行う。教諭、主幹教諭を経て20年度より現職
「生徒に質問することが大事な仕事となるので、ティーチングアシスタントにも『答えを言わないでくれ』とお願いしています。もう1つ、一歩踏み出せない生徒に『まずはやってごらん』とエンカレッジすることもすごく大切ですね」
ただ、「HOP」のブラッシュアップは目下の課題だという。
「本校が探究を継続できたのは『HOP』という導入の虎の巻があるという点が大きいのですが、これが曲者(くせもの)で。『型』を学ぶ授業なのでどうしても一斉授業のようになり、『早く自分の探究がしたい』と不満を抱く生徒が出てきている。初期段階で楽しさを感じられなければ探究は日常的なものにならないので、見直そうと思っています。探究の授業を続けるには、教員自身も『探究とは何か』ということを探究し、楽しみながらつねに新しい授業をつくっていくスタンスが不可欠であると感じています」
多様性に対応できるようになってほしい
同校は、21年度の新入生からBYODを導入する。画面サイズや動作環境、Wordの準備など最低限の規定は作ったが、基本的には好きな端末を用意してもらうことにした。ちなみに2年生と3年生に対しては入学後の導入となるので、スマートフォンも可としている。
「学校としては一律の端末を配付したほうが圧倒的にラク。でも、どの端末がいいかは本人の趣味嗜好があります。実際社会に出たらみんなハードもソフトも異なるものを使い、その違いを前提に他者とデータのやり取りをしますよね。その多様性に対応できるようになってもらいたいのです。有害サイトなど最低限のフィルターはかけますが、生徒には自分で考えながら使ってほしいので、可能な限りルールは減らす方針です」
実は、同校は時代を見据え、すでに2年ほど前にWi-Fiの整備を済ませていた。今年度の途中からはSurface Goなどタブレットも2クラス分購入し、図書館で貸し出しも行った。

「Moodle(ムードル)(※)も用意しておいてよかった。おかげでコロナ禍で休校になったときも、ネット上で資料を配付できました。BYODとなる21年度からも、課題の配付や連絡はMoodle経由で行う予定です」
※ オープンソースの学習管理システム「LMS」(ラーニング・マネジメント・システム)の1つ