ユニリーバ「高校生インターン」大好評の中身 人事担当役員が語る「伸ばすべき4つの力」

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ラックス、ダヴ、リプトンなど、400以上のブランドを世界190カ国で展開する消費財メーカー、ユニリーバ。その日本法人であるユニリーバ・ジャパンは、2017年に高校生を対象にしたインターンシップと、新卒通年採用制度の導入をスタートした。いずれも日本ではまだ珍しい取り組みだ。その背景や目的、そして今必要とされる人材像について、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス取締役人事総務本部長の島田由香氏に聞いた。

高校生向けだが、中学生も参加

ユニリーバ・ジャパンは、2014年から「ユニリーバ・フューチャー・リーダーズ・スクール」という、若い世代の未来創造を応援するプログラムを実施している。同社のブランド「リプトン」と「こども国連環境会議推進協会」が連携し、中高生が「食」の課題解決プランを立案して実行していく企画などを展開してきた。

17年には、同プログラムの一環で高校生向けのインターンシップも開始した。その原点は、同社の取締役人事総務本部長、島田由香氏の学生時代の体験にさかのぼるという。

「中学生の時に学校で『適職診断』が行われたのですが、その結果に疑問を持ちました。いくつかの質問に答えただけで『あなたはこういう人だからこの仕事』と断定的な形で1つの職業が示されていて、ほかのオプションがないことに違和感を抱いたのです」

そんな体験もあって、若い世代が世の中にある仕事の種類や面白さなどを知る場を設けたいと常々考えており、17年に「高校生インターンシップ」を実現したという。

18年の「高校生インターンシップ」。ディスカッションやワークショップに取り組む

島田氏も毎年参加しており、高校生たちが自らの経験や卒業後の進路などについてディスカッションをし、自身の能力をどう将来に結び付けていくかを共に考えていくという。そのほか、社員が仕事の種類や働き方を紹介したり、心理学者や教育学者らと独自に開発した、自己肯定感を高めるワークショップなどを行ったりしている。

例年、参加者や保護者の満足度は高く、「働くことに前向きなイメージが持てなかったが、考え方が変わった」「リーダーシップやスキルがなければ駄目だと思い込んでいてそれがプレッシャーだったけど、自分らしくあればいいと思えるようになってほっとした」といった感想が多く聞かれるという。「毎年参加してくれる子もいるんですよ。内容は高校生向けですが、中学生も受け入れていて、例年10人弱の中学生も参加しています」と、島田氏は笑う。

20年8月の高校生インターンシップは、コロナ禍の影響で初のオンライン開催となったが、例年と遜色のない実施ができたという。

「オンラインだとコミュニケーションが取れないと思い込む人も多いですが、『触る』以外は全部できるんですよね。だから、触れ合いの要素がある内容を除きプログラムはとくに変更せず実施しました。参加者が得られる学びにも違いはなかったと思います」

20年の高校生インターンシップは初のオンライン開催となった

オンラインならではの成果もあった。今までは会場の広さから最大80名と参加人数に制限があったが、今回は約200名の中高生が参加でき、地方や海外などさまざまなエリアからの参加も増えた。参加者からは「つながりが広がった」「たくさんの同世代の意見が聞けた」といった感想が多く集まったという。

「このままでは日本は駄目になる」

この高校生インターンシップをスタートした17年、同社は新卒採用制度も変えている。これもまた、島田氏が常々抱いていた企業の新卒一括採用への疑問が背景にあった。

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