北朝鮮、「拉致被害者再調査」の”茶番” 日本のメディアの報道から抜け落ちていること

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中国の王毅外相は今週初めに、韓国を訪問し、朴槿恵大統領や尹炳世外相と会談、中韓関係について「これまでで最良」との認識を示した。王毅外相は、年内に予定されている習近平・中国国家主席の初の訪韓日程についても調整したと報じられている。日本との歴史問題をめぐって、中韓が共闘を強めていることは読者もよくご存じだろう。

こうした中韓の親密ぶりが北朝鮮に強いプレッシャーを与えていることは間違いない。北朝鮮にしてみれば、その対抗策として、譲歩覚悟で日本に接近している。特に韓国に対し、頭ごなしで日本と交渉することは、イライラや出し抜け感を募らせる北の有効手段となっている。

では、中国はなぜ、韓国に接近しているのか。その理由としては、中国が経済的に韓国との相互依存を深め、かりに将来、韓国主導で朝鮮半島が統一されても、統一朝鮮が反中にはならないとの判断に傾いていることがあるとみられる。

また、米中がお互いの利益を尊重する協調主義的な「新型大国間関係」を強め、中国は米国に対しての自信を強めている。今や太平洋の東半分と西半分の「棲み分け」を米国に提案するくらいだ。そんな中、自信あふれる昨今の中国にとっては、米韓に対する緩衝地帯(バッファーゾーン)としての北朝鮮の戦略的価値が低下しているとみられる。

本来は調査など必要ない

北朝鮮は今回、日本側に対し、拉致被害者の再調査の実施を約束したが、本来、北朝鮮が拉致被害者を捜したり、生存を確認したりするのに調査など必要ない。なぜなら、北朝鮮は既に日本人拉致被害者の居所なり状況を把握しているはずだからだ。

北朝鮮は日本と違い、移動の自由が制限されている。また、拉致被害者は、日本人を含めた外国人との結婚が強制されていると言われている。北朝鮮のような閉鎖的で流動性の少ない社会の中で、日本人がいれば容易に気付かれてしまうものだ。

実は安倍首相も10年前の2004年の自民党幹事長時代、当時の日本政府が提案した安否不明者10人についての日朝合同の調査委員会構想について問われ、次のように答えている。

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