茨城県、3年で10校も中高一貫校つくる理由 水戸一高、土浦一高も…校長公募で改革着手
では、なぜ中高一貫校なのか。茨城県教育委員会は、「県内各地域で中高一貫教育への高いニーズがみられる」と話す。また、既存の中高一貫教育校において、探究活動などの6年間の計画的、継続的な取り組みにより、学業だけでなく課題解決能力の育成などにおいて優れた実績が出ているという。そこで「より通学しやすい場所に中高一貫教育校を設置し、地域課題の解決的な学びを通して、『地域の中の学校』における中心的な役割を担い、地域のリーダー、地域での学びをベースに世界に飛び立つ人財の育成を目指す」(茨城県教育委員会)計画だ。
さらに、来年度開校する水戸第一、土浦第一、勝田では校長を公募で選考する。茨城県では、昨年度も校長を公募しており、63名の応募者の中から3名を採用している。うち2名は、国立大学准教授と私立中高一貫校で高等部の設置準備を行っていた「民間人」(任期4年)だ。文科省は00年、学校教育法施行規則を改正し、校長の資格要件を緩和。教員免許状がなく教職経験がなくても、学校運営上とくに必要な場合には民間人も登用できるようにしており、今年は横浜市や大阪市も校長の公募を行っている。
茨城県教育庁学校教育部高校教育課は、校長公募の狙いについて「これまでのキャリアで培われたマネジメントノウハウを十分に発揮し、過去の事例にとらわれない新たな発想に基づく、新しい時代の学校のマネジメントと人財育成に期待し、今回公募により幅広く募集を行うことにした」と話す。校長として求められるのは、優れたリーダーシップと組織マネジメント力、過去の事例にとらわれない柔軟な発想力と企画力、社会の変化への対応力と先見性を有し、地域の教育資源を取り込んでネットワークをつくるとともに、学校現場の課題を解決できる実行力のある人物だ。募集期間は11月27日まで。

これまで茨城県では中高一貫教育に加え、基礎学力の定着やキャリア教育を重視するアクティブスクール、不登校の子どもに対応するフリースクールを設置する一方、既存校の統合なども進めてきたという。少子化は、日本全国どこの自治体でも対応しなければならない問題だ。子どもの絶対数が減る中で、適正な規模を保ちつつ活力ある学校、教育を維持するにはどうしたらいいのか。さまざまな工夫が、今後も求められそうだ。
(写真:iStock)
制作:東洋経済education × ICT編集チーム
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