「筑波と東京医科歯科」追加で指定国立大9校に 世界的な競争にさらされる大学の行方

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筑波大学の選定理由については、戦前の東京高等師範学校に由来する教育研究組織の特徴を生かし、国境・組織の壁を超える人材育成と学問分野の壁を超える研究力強化に挑戦することで、「地球規模の課題を解決する『真の総合大学』」として世界最高水準の教育研究を行う大学を目指していること。また、国際水準の研究推進、デザイン思考を涵養するための全学的なチュートリアル教育の展開、企業の研究部門と一体化した「B2A(Business to Academia)研究所」の設置などが計画されていて、大学の目指すべき方向性やその取り組みが全学的に浸透していることが評価された。

一方、東京医科歯科大学 学長の田中雄二郎氏は、こうコメントしている。

「本学の指定国立大学法人構想では、長期的視点における世界的・社会的課題を『世代を超えた人類のトータル・ヘルスケア』の実現に設定し、『知と癒やしの匠』の創造による世界屈指のヘルスケア・サイエンス拠点の形成を目標に掲げています。急速な進歩と変革の時代の中で、本学の特徴と優位性を生かし、10年後、そしてそれ以降も継続してたゆみない進化を遂げる世界レベルの卓越した大学を実現するため、本学が実行する大胆かつ計画的な改革への取り組みにご注目ください」

東京医科歯科大学の選定理由については、国立大学で唯一の医療系総合大学として、「世代を超えて地球・人類の『トータル・ヘルスケア』を実現する」ことを目指しており、世界をリードするClinician Scientistを育成するための学部・研究科を通じたシームレスな人材育成システムの構築、医学領域と口腔科学領域を融合した「トータル・ヘルスケア」を実現する世界的研究拠点の形成などが計画されていて、指定国立大学法人としての実現の道筋が明確になっていることが評価された。

審査については、外国人有識者を含む外部有識者15名からなる委員会による書面審査、ヒアリング審査、現地視察によって行われた。審査基準としては、自らの強みと弱みの分析が的確に行われているか、分析を踏まえ、指定国立大学法人としてどのようなことに挑戦し、大学として新しいステージを目指すのか、構想を実現するための道筋が明確になっているか、といった観点から審査が行われた。

今回の審査では結果的に旧帝大の一角を占める九州大学が選定から漏れるなど、指定国立大学法人に選ばれるのは非常に狭き門となっている。審査に当たった国立大学法人評価委員会 国立大学法人分科会 指定国立大学法人 部会長の相澤益男氏(東京工業大学名誉教授)は次のようにコメントしている。

「筑波大学、東京医科歯科大学については、現状にとどまることなく、構想の実現に向けて全学を挙げて尽力いただき、指定国立大学法人として、わが国社会、ひいては国際社会の発展とイノベーションの創出に貢献する大学に躍進していくことを求めます。また、九州大学については、その実力やポテンシャルは十分承知しているところであり、今後、自らの強みと弱みを改めて検討し、第4期に向けて目指す大学のビジョンを再構築していただくことを期待しています」

指定国立大学法人制度は、実際のメリットはあまりないなどの声もあるが、今後さらなる規制緩和や財源の多様化なども議論されている。

(写真:iStock)

制作:東洋経済education × ICT編集チーム

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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