高配当限定で探す主力「バリュー株」ランキング 「会社四季報プロ500」では出遅れ銘柄に注目
ランキング第1位になったのは、フジ・メディア・ホールディングスだ。
ホテルの苦戦やテレビ広告の落ち込みで業績は低迷。外資の保有規制で海外勢の買いも期待できないため、株価はコロナショック以降、2011年来の底値圏で推移している。ただ、今期は一時的に減配しても依然利回りが高く、来期PERをみても割安水準に放置されている筆頭格といえそう。
同業のテレビ局も低PBRが続いている。日本テレビホールディングスも上位に顔を出すほか、時価総額が2000億円にわずかに届かずランク外になったが、TBSやテレビ朝日も0.5倍前後とPBRが低い。テレビ朝日は利回りで2%を超す高い状態が続いている。
続く2位は国際石油開発帝石。原油価格の下落が響き、今期は大幅減益を見込む。海外プロジェクトで巨額減損も計上、最終赤字転落の予想で、株価の低迷が長引いている。時価総額で1000億円前後の石油資源開発は、PBRが0.3倍を割り込んでおり、水準は低い。
バフェット効果でにわかに注目される商社株
万年割安株の代表的存在だった商社株。PERやPBRのランキング上位の常連だったが、そんな商社株が急反発し、一躍脚光を浴びた。著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いるアメリカのバークシャー・ハサウェイが日本の5大商社株の大量保有を発表したためで、これをうけた8月31日の商社株は軒並み上昇し、伊藤忠商事などは年初来高値を更新した。
もともとバリュー株投資を得意とするバフェットだが、その買いの対象から外れた双日は、PBR0.5倍程度で依然として安値に放置されている。発行済み株式数の5%まで買われた住友商事も、PBR0.7倍前後と依然低い。今期はCATV事業が底堅いものの、鋼管事業や欧米製菓事業が苦しく、マダガスカルにおけるニッケルプロジェクトの巨額減損もあり最終赤字見込み。株価もバフェット買いで反発したが、52週線で跳ね返され、コロナショック前の水準は遠い。
5大商社では、ほかに三菱商事や三井物産、丸紅がPBR1倍割れで並び、唯一、伊藤忠商事のみが1倍を超えた。ただ、その伊藤忠もPERでみれば10倍前後と割安圏にあり、依然としてバリュー株の代表的ポジションを占めているといえよう。
自動車も割安に放置された業界のひとつ。ホンダの場合、今期は序盤の北米と国内の急減速が痛手で、営業益が続落。持ち分法適用の中国事業が回復しても、すでに減配を発表済みだ。ただ、前期112円配から44円配と減配となっても、利回りは1.7%近くあり、来期増配期待から割安感はある。バリュー株物色で対象となる可能性もありそうだ。
業界では相対的に健闘するトヨタ自動車はPBRが0.95倍。利回りも高水準を維持する。ちなみに、今期無配でランキング対象から外れた日産自動車とマツダはそれぞれ0.37倍、0.35倍と不人気で、株価低迷が続いている。
景気の先行きに敏感な銘柄もまた多いバリュー株。金余りが続く中、出遅れ割安株が注目される局面も、これから増えてくるはずだ。
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